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創業80年の香油店、日本人観光客に人気

アルコールと水を使わない古来からの製法を用い、創業から80年以上続く香水専門店のジャマルカズラアロマティクスは、日本人観光客に人気のお店だ。10代のころから学校が終わると父の店を手伝い、1979年に2代目店主として父の事業を受け継いで香油店ののれんを守ってきたのがモハメッド・ジャマル社長。引退をみすえ、息子に事業を譲渡している最中という同氏に聞いた。

---シンガポールで600~1,500平方フィート(約55.7~139.4平方メートル)規模の香油店を4店舗営んでいる。現在の客層は。

観光客の需要が大半。来客数は1日50~100人で、75%が日本人、10~15%が中国人、あとは韓国人をはじめ、地元のマレー系だ。売上高でみると、日本人が6割を占める。売上高は公表していない。

このほかリトルインディアの大型商業施設ムスタファセンターと、ハニファという衣料品店に卸している。

---何種類の香油があるのか。

シンガポールは、観光客がさまざまな国からやってくるため、各国の人が好む香りを幅広くそろえている。香りは約90種類あり、店舗の上の階の事務所兼工房で調香している。アルコールと水を使っていないので、市販のものと違い香りが1日中持続するといっても過言ではない。価格は、欧米の香水ブランドのものと比べて半分ほど安い。香料はフランス、スイス、スペイン、インド、インドネシアなどから輸入し、容器や外装箱はマレーシアに発注して輸入している。スタッフは20人程度だ。

---人種別に好む香りに違いはあるか。

日本人はきつくない柔らかな香りを好むのに対し、中東とインドの人は、強い香りの香油を求める。欧米の人は欧米製のインターナショナルブランドに似た香りを好み、地元のマレー系の人には、柑橘系の香りの商品が男女問わずによく売れる。もともとは男性向けの香りだが、ユニセックスな香りと評判だ。

---シンガポールのムスリムは、香油を使う習慣があるのか。

イスラム教徒は1日5回お祈りをする。手足、顔、耳を水で洗い、口をゆすいでからお祈りをするが、このときに男性は毎回、香油を使う。香油を使うことで気分をリフレッシュし、リラックスして祈りに集中できるので、小さな容器のものを持ち歩いている人が多い。しかし女性は違う。外出先で香油をつけてはならないので、自宅で愛用する。1度に使う量も男性に比べると少ない。

---香油の消費動向で特徴的な事は。

年間を通して売れるが、ハリラヤプアサ(断食明け大祭)とハリラヤハジ(イスラム教徒のお正月)前には、特に地元の人は普段より高めの香油を買う傾向がある。普段は数十ドルクラスの12ミリリットルの香油を愛用している人が、12ミリリットル750Sドル(約6万1,000円)する当店の最高級品のアラビアン香油を買う人もいる。とはいえ、12ミリリットル分購入すると高いので、3ミリ分を187.50Sドルで購入して、数か月間使うという需要が中心だ。当店の最高級品は、中東の富裕層が好んで使う高級香油の一つで、インド産アガーウッド(沈香)の天然オイルを使ったアラビアン香油だ。

ちなみにサウジアラビアやドバイなど中東にある香油店は、価格の幅がうちよりももっと広い。売れ筋は100~1,000Sドルが平均ラインとなっている。

---今後の店舗展開や海外展開は。

海外展開は、欧米に留学した経験がある2人の息子に一任しているので息子の判断次第だが、シンガポールはこの規模で十分だと思っている。インドのチェンナイには1店舗ある。これは創業時からある店だ。今後、欧州や韓国、台湾などにも進出したいと考えているようだ。

日本は、うちの商品を気に入ってくれた日本人実業家が商品を仕入れて販売してくれている。2年前に東京・表参道、1年前から東京・吉祥寺に店舗を構えている。(聞き手・鈴木美鈴)


関連国・地域: シンガポール日本
関連業種: 小売り・卸売りサービス

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