ミャンマー国軍が、仏暦の新年を祝うティンジャン（ミャンマー正月）の準備を進めている。ティンジャンは2021年２月のクーデター後、３回目。猛暑をしのぐ「水か…

ミャンマー

ミャンマー国軍が、仏暦の新年を祝うティンジャン（ミャンマー正月）の準備を進めている。ティンジャンは2021年２月のクーデター後、３回目。猛暑をしのぐ「水かけ祭り」が各地で開催されるが、軍事政権が主導する年最大のイベントは武装闘争を続ける人々を刺激する火種となる可能性があり、都市部でも爆弾攻撃や銃撃が増える恐れがある。【小故島弘善】
最大都市ヤンゴンでは、市庁舎とスーレー・パゴダ（仏塔）の近くで、大規模な舞台設置が始まった。昨年のティンジャン期間中は周辺が通行止めとなり、厳重な警備下で歩行者天国となっていた。
13日には首都ネピドーでのティンジャン開催に向けた調整会議が開かれ、国軍が情報相に指名したマウンマウンオウン氏は「政府職員や家族の団結と幸せをもたらし、市民が楽しめるようにしたい」と発言した。
国軍側には、イベントを開催してミャンマー情勢の安定を内外にアピールする狙いがある。ティンジャンは１年で最も長い休暇期間で、政府ウェブサイトや国営紙を通じ、著名リゾートでホテル予約が活況だと伝えている。
軍政による全権掌握が長期化する中、市民の反応は分かれる。ヤンゴン在住の男性は、「緊張が高まる可能性がある市内にはとどまらず、家族と比較的安全な観光地に『避難』する予定だ」と話した。各勢力の対立に巻き込まれないよう、安全確保を最優先しているという。
「（クーデターが起こった）２年前から楽しいことは何もない」。そう強く話すのは、ヤンゴンに住む20代の女性だ。今年のティンジャンは、市郊外の実家で静かに過ごすつもりだ。
北西部ザガイン地域や北部カチン州、北東部シャン州などの農村部で国軍と抵抗勢力の武力衝突が続く一方、ヤンゴンは平穏。ただ、散発的に爆発事件などが起こっており、ティンジャンが各勢力の暴力を触発する懸念がある。
昨年のティンジャンに対しては、国民防衛隊（ＰＤＦ）など民主派武装勢力の過激派が放水のために設置される水かけ祭りの舞台を攻撃すると警告。「水かけ祭りに参加する人は軍人とその支持者のみだ」と訴えた。今年はまだ目立った声明が出ていないが、大々的に祝うと反感を買う可能性がある。
2023年のティンジャン期間は４月９日（日）～17日（月）の９日間。
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