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【18年の10大ニュース】貿易摩擦で視界不良

今年の春先に垂れ込め始めた米中貿易摩擦という暗雲は、両国の数度の協議を経ても完全に晴れることはなく、中国の景気を冷え込ませる形でずるずると影響を及ぼした。
貿易摩擦は、3月にトランプ米大統領が中国製品に追加関税を課す大統領令に署名する形で火ぶたを切った。米国は7、8、9月と3度にわたり中国製品への追加関税措置を発動。中国による不公正な貿易慣習や知的財産権の侵害がその理由だ。今年は米国による中国通信機器メーカーへの制裁行為も目立った。
一方で中国は外資自動車メーカーへの出資制限緩和を中心とした市場開放や、輸入に特化した見本市「中国国際輸入博覧会」の初開催で貿易黒字の削減に努めるなど、米国も意識しながら各種の規制緩和策を実行した。
ただ国内の投資や消費の落ち込みもあり、第3四半期(7~9月)の経済成長率は6.5%増と、約9年半ぶりの低水準に沈んだ。自動車販売は不振にあえぐ。政府は景気対策として、年後半から投資や消費、雇用のてこ入れといった施策を相次ぎ打ち出している。
米国による対中制裁の拡大は12月の両国首脳会談で一時棚上げとなったものの、貿易摩擦と景気失速という表裏一体とも言える難題は、解決策が見通せないままだ。