在マレーシア日本大使館と国際協力機構(JICA)、科学技術振興機構(JST)は20日、マレーシア政府などと共同で、洪水防止に向けたセミナーを開催した。最新の気象レーダーを利用した集中豪雨の予測技術や、JICAとJSTが「地球規模課題対応国際科学技術協力(SATREPS、サトレップス)」事業の一環としてマレーシアで進めている地滑り災害低減に向けた研究プロジェクトについて、日本の防災専門家が講演した。
セミナーは、日本大使館、JICA、JSTと、マレーシアの天然資源・環境省傘下の排水・かんがい局(DID)およびテナガナショナル大学が共同で開催した。
セミナーでは、京都大学防災研究所の中北英一教授が、2008年に兵庫県神戸市の都賀川で発生した鉄砲水災害を例に挙げ、局地的な集中豪雨を早い段階で予測し、迅速に情報を伝達できる小型レーダー技術などについて紹介した。
東京大学の登坂博行教授は、自身が代表を務めるSATREPSによるマレー半島北部での地滑り災害低減に向けた研究プロジェクトを紹介。クランタン川やドゥングン川を対象地域に進める共同研究について説明した。
一方、DIDのアフマド・フサイニ・スライマン局長は「マレーシアでは国土面積の9%に当たる2万9,800平方キロメートルが洪水多発地域に当たり、490万人が生活している」と現状について指摘。DIDとして昨年は11億リンギ(約292億円)、今年はこれまでに既に8億800万リンギを投入し、対策に当たっていることを明らかにした。
セミナーには、DIDなどマレーシア政府関係者のほか、テナガナショナル大学の学生など約160人が出席。会場では講演に熱心に聴き入る参加者の姿が見られた。JICA関係者によると、両講師は19日にも在タイ日本大使館主催のセミナーで、バンコクにて同様の講演を実施。またきょう21日にはマレーシア科学大学(USM)が主催するセミナーで講演する。
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