日立電線は25日、自動車部品のグローバル供給体制を強化するため、タイの製造子会社AHCLタイランドを通じ、電動パワーステアリング(EPS)用トルクセンサーの製造能力を増強すると発表した。新設備は2013年春の稼働を予定。14年度までにEPS用トルクセンサーの製造能力を11年度比で約2倍に高める。
AHCLのEPS用トルクセンサーの生産能力を増強する背景には、自動車メーカーが世界戦略車の導入を加速させ、グローバルな最適地生産が進んでいること、日系自動車メーカーが輸出対応から海外生産拠点をより強化させていることがある。こうした動きを受けて海外各地で部品需要が高まっているため、日立電線もグローバルな供給体制を強化する。
AHCLは日立電線の完全子会社で、東部チョンブリ県アマタナコン工業団地に工場を持ち、EPS用トルクセンサーのほかアンチロック・ブレーキシステム(ABS)センサー、ブレーキホースなどの生産を手掛けている。今年5月にはブレーキホース管体(チューブ)の生産能力増強を発表。日本から生産設備の一部を移管し、2013年度に11年度比で約2倍にするとしている。
新たに生産能力を増強するトルクセンサーは、シャフトに掛かる回転方向の力を検出し、電気信号に変える装置。トルクセンサーを搭載するEPSは、油圧式パワーステアリングに比べてエネルギー損失が少なく、省スペース化が図れることから、日本、欧州を中心に搭載が進む。北米、中国などでも燃費規制などへの対応から搭載比率が高まっており、さらなる需要拡大が期待されている。
日立電線は今後も、グループでグローバルな視点に立ったマーケティングに基づいた最適地での製造・販売体制を構築し、海外事業の強化を図るとしている。
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