ベトナム国家銀行（中央銀行）は、多国籍企業を対象にした国際最低税率課税（グローバルミニマム課税）を15％とする制度が2024年から各国で始まることを前に、自…

ベトナム

ベトナム国家銀行（中央銀行）は、多国籍企業を対象にした国際最低税率課税（グローバルミニマム課税）を15％とする制度が2024年から各国で始まることを前に、自国の投資環境への影響と対策を検討する作業部会を設置する。ベトナムは外資による大型投資の一部に大幅な減免税を認めており、新制度が開始すれば投資先としての国際的競争力を損なうとの懸念が広がっていることに対応する。
作業部会の設置は、国家銀のファム・タイン・ハー副総裁が21日、韓国サムスン電子の現地法人サムスン・ベトナムのチェ・ジュホ社長との会談で明らかにした。北部でスマートフォン工場などを運営する同社は、ベトナム政府から税制優遇を受けており、グローバルミニマム課税制度への対応を政府に求めていた。
ハー氏によれば、作業部会は「ベトナムの投資環境の競争力への悪影響を最小限に抑える対策」を検討する。財務省など関係省庁とも調整し、グローバルミニマム課税の導入後も国際公約を守りつつ外資を誘致する政策を継続する方針を明らかにした。
グローバルミニマム課税は、経済協力開発機構（ＯＥＣＤ）加盟国を中心とする世界約140カ国・地域が合意した国際ルールの一つだ。複数国・地域に展開する企業がある国で実際に負担している実効税率が15％を下回る場合、その企業の最終親会社が本国政府に15％と実際の負担税額の差額を納税することになる。
ベトナムの法人税の基本税率は現在20％で、新ルールを上回っているが、一部の企業には誘致策の一環として10～17％の優遇税率を適用している。さらに期間限定の税額免除や税額半額減免措置などの投資優遇措置も併用しており、実際に企業に課される法人税の実効税率は15％を大きく下回る例も少なくない。

 
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