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トヨタが操業停止延長、車産業への影響長期化か

天津市で12日夜に起きた爆発事故に伴い、自動車産業への影響が長期化することが懸念されている。トヨタ自動車はきょう20日以降も、天津工場の稼働を見合わせることを決めた。天津港の機能が復旧する見通しが立っておらず、完成車や部品の輸入が滞る可能性があり、トヨタをはじめ日系自動車各社は代替経路の検討を始めた。爆発現場近くで各社が保管していた輸入車への直接的な被害は数十億元規模に上るとみられる。【大連・福地大介】

トヨタ自動車は事故現場近くにある中国第一汽車集団(一汽集団)との合弁生産拠点、天津一汽豊田汽車の泰達工場(2ライン)と同市内の西青工場(1ライン)を、20日から22日まで非稼働とすることを決めた。工場周辺の安全性が確認されていないため。当初は夏季休暇明けの17日から19日まで停止するとしていたが、現場周辺の復旧が遅れていることで生産再開を延期した形だ。

また、同じく一汽集団との合弁で運営する四川一汽豊田汽車(四川省成都市)の長春西工場(吉林省長春市)についても、20、21両日の稼働を停止する。天津で日本からの部品通関に一部遅れが生じているためで、22日には稼働を再開する。2日間の停止分は8月中に振り替え稼働を計画しており、同工場での生産量に影響はないという。

同社は天津港の機能が正常化していないことを受け、同港を利用していた輸出車の荷揚げや中国生産車両の輸送について、代替経路の検討も始めた。天津はトヨタにとって中国の重要な輸送拠点の一つだが、復旧が長引けば他港への振り替えなどを検討する。トヨタの中国への完成車輸出は昨年、約10万3,000台に上った。

このほか三菱自動車も、天津港を利用していた輸出車の荷揚げを上海と遼寧省大連の港へ振り替えることを決めた。同社はもともと上海や大連の港も利用していたが、これまで輸出車のほぼ半数は天津経由だったという。爆発事故の現場近くには約600台が保管中で、近寄れないため被害状況の全容は把握できないものの、爆発によって破損したものとみられる。

富士重工業もきょう20日に日本を出航する便での輸出車について、荷揚げ地を上海港に振り替えることを明らかにした。その後については、天津港の復旧状況を見ながら随時決定するとしている。同社は中国に年5万~6万台の自動車を輸出しており、2014年は天津からの荷揚げが約2万2,400台に上った。今回の爆発による直接的な破損被害は百数十台という。

天津海事局船舶交通管理中心(天津海事局交管中心)は17日、短文投稿サイト「微博」を通じ、「爆発から3日後に天津港への船舶の出入港は正常な状態に回復した」と発表した。ただ、実際には爆発現場周辺は広範囲に立ち入りが規制され、大部分の船舶が天津への輸送を停止している状況とみられる。

立ち入りが規制されているエリアには、完成車を保管するターミナルなども含まれる。18日付21世紀経済報道によると、同港関係者は「港湾作業が正常化したとしても、完成車を保管できる場所がない」と述べ、自動車輸送への影響がさらに長期化する可能性を示唆した。

天津は輸入車の取り扱いでは全国の4割を占める最大の港湾。国産車の中核部品の多くも同港から輸入されており、港湾機能が回復しなければ天津をはじめ華北地域の自動車メーカーの生産にも影響が予想される。

■被害確認が難航

自動車情報サイトの蓋世汽車網のまとめによると、爆発により天津港の保管場所で破損した車両は1万台を超えるもよう。直接的な経済損失は40億元(約777億円)前後と試算される。

主要メーカーではドイツのフォルクスワーゲン(VW)が2,748台、米クライスラーの「ジープ・チェロキー」が約3,000台、フランスのルノーが約1,500台などの被害があったと伝えられる。ただ、現場周辺は今も立ち入りができないため、詳細な被害状況の把握は各社とも難航しているもようだ。

輸入車販売大手の国機汽車(天津市浜海新区)は18日、爆発地の中心エリアに輸入車6,500台余りを保管していたことを明らかにした。商品価値は約30億元。「現場は厳戒状態のため、具体的な損失状況はまだ確認できない」としている。

各社の破損車両はいずれも保険を掛けていたとみられ、保険金の支払額は今年最大の規模となることが予想される。

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