長崎市の松が枝国際ターミナル近くにある旧香港上海銀行長崎支店記念館。1904年に完工し、31年の撤退まで同行の長崎支店として使われた建物だ。
秋田出身の建築家、下田菊太郎(1866~1931)が設計した3階建ての建物は外観、内部を問わず、実に風格がある。いかにも明治の洋風建築らしい重厚さに感銘を受けるとともに、今や世界の金融大手として確固たる地位を築いた英HSBCグループがかつて、長崎を日本における重要都市と位置付けていたことに思いをはせた。日本国内ではこのほかにも、地方を中心に、風格を兼ね備えた古い銀行店舗の建物が残っている例が見られる。
翻って香港には、知る限り、この手の銀行店舗の建物はもはやほとんどない。香港島・中環(セントラル)の香港上海銀本店の隣にある中銀香港の中区支店ぐらいだろうか。実に寂しい。あまりにも。(和)
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