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東南ア、入国制限の緩和続く ワクチン接種で手続き大幅に減少

東南アジア各国が、相次いで入国制限の緩和を打ち出している。4月下旬から5月にかけてタイやマレーシア、ベトナムが入国時のPCR検査や隔離、医療申請を廃止。これらの国に加え、シンガポールなどでもワクチンの接種を完了していれば1~2種類の書類をそろえるだけで入国が可能となっており、新型コロナウイルス感染症が拡大する前の状況に近づきつつある。

東南アジア各国では入国制限が相次いで緩和されており、「ウィズコロナ」路線が鮮明になってきた。写真はタイ・バンコク近郊のスワンナプーム国際空港=サムットプラカン県(NNA撮影)

東南アジア各国では入国制限が相次いで緩和されており、「ウィズコロナ」路線が鮮明になってきた。写真はタイ・バンコク近郊のスワンナプーム国際空港=サムットプラカン県(NNA撮影)

タイでは5月1日から、入国時に義務づけられるPCR検査が廃止された。タイへの入国は「隔離なし」が宣言されていたものの、到着時にPCR検査があるため、実質的には指定のホテルに1泊する必要があった。タイ政府は2021年11月に「テスト・アンド・ゴー」による「隔離なし」の入国を開始。新型コロナの変異株「オミクロン株」が拡大したことによる中断を経て、4月からは渡航前のPCR検査も不要となった。タイは入国制限の緩和に早期から着手していたが、実質的に隔離があったことで周辺国に比べて「周回遅れ」ともいえる状況となっていた。

5月以降はワクチン接種済みの入国者は、到着当日から自由な行動が可能になる。オンラインでの入国申請「タイランド・パス」は継続し、1万米ドル(約130万円)の保険が必要となるほか、到着後は抗原検査キットによる自主的な検査が求められる。

シンガポールは4月1日と同26日に入国制限を大きく緩和した。入国2日前のPCR検査と、保険や医療申告のアプリは不要となった。ワクチン接種を完了している人と12歳以下の人は短期滞在目的の人も含め、全ての人が入国できる。到着時の検査や入国後の隔離は必要なく、入国許可証の取得も不要だ。マレーシアから陸路で入国する場合、従来は専用バスでの移動のみ許可されていたが、4月以降は自家用車(二輪を含む)での入国も可能となった。

そのマレーシアでも、4月1日から入国制限は大幅に緩和され、5月からは追加の措置が実施された。ワクチンの2回接種、もしくは追加接種(ブースター接種)を終えている場合は、隔離が免除。到着後は空港か、24時間以内に医療機関でPCR検査を受けることが求められていたが、こちらも廃止となった。マレーシアではアプリ「MySejahtera(マイスジャテラ)」で、個人情報やワクチン接種証明、陰性証明、保険内容が記録されていた。アプリによって生成されるQRコードは商業施設やオフィスに入る際にも提示が求められていたが、廃止された。屋外でのマスク着用についても自主判断となり、「ウィズコロナ」路線を強めている。

■ベトナムはビザ取得の入国に難点も

ベトナムでは3月15日より、入国後の隔離が不要に。入国前72時間以内に実施したPCR検査か、24時間以内に実施した抗原検査による陰性証明が必要となる。入国時には到着前24時間以内に申請した医療申請書によるQRコードを提出する必要があったが、4月27日から廃止された。医療申請によって空港での混雑が問題になっていることで、当局が申請の廃止に踏み切った。15日以内の滞在であれば、ビザの取得も必要ない。ホーチミン市に拠点を置き、入国や進出、採用の支援を手がけるVIT Japanの社長で、入国制限などについて情報発信(https://www.youtube.com/channel/UCBRJhWy4C7YbYGp12X688uw)を続けている猪谷太栄氏は、「ベトナム政府は国内移動の際の健康宣言(申告)について廃止の方針を示している」とし、「数週間以内に、入国手続きは全廃される可能性もある」との見通しを示す。

入国制限を大幅に簡素化したベトナムだが、ビザの取得では問題が多い現状がある。猪谷氏は「日本人がベトナムに入国して2週間以上活動する場合、コロナ前は3カ月の観光ビザもしくはビジネスビザを取ることが多かったが、現在は3カ月の観光ビザの発行が停止されている」と説明する。1カ月の観光ビザは到着ビザ(eビザ)のみで、更新がかなり難しい。招聘(しょうへい)による3カ月のビジネスビザは取得が容易だが、こちらも更新が難しいのが実情。「周辺国から不正な入国が相次いだことで、入管局が制限を厳しくしている」(猪谷氏)とみられる。同氏はこれまでの政府の対応を踏まえ、ビザについては「秋ごろまでは現在のやり方を維持するのではないか」と予想している。

出張でベトナムに1~2週間滞在する場合はビザなしでも入国は可能だが、「滞在中にPCRで陽性になってしまった場合、そこからビザを取ることになる。招聘による3カ月のビジネスビザを取得するか、1カ月のeビザを取得するのが無難」とコメントした。また、4月29日より日本政府がベトナムを指定国から解除したため、3回目ワクチン(モデルナ、ファイザーなど)接種済みの場合は日本に隔離なしで入国し、到着後すぐに活動可能になる。

■インドネシアは到着ビザ発給拡充

インドネシアでも、入国制限の緩和は段階的に進められている。同国は4月5日、首都ジャカルタ郊外のスカルノ・ハッタ国際空港で、観光客が空港到着時に有料(50万ルピア=約4,300円)で取得する「到着ビザ」の発給を開始。東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国に対してはビザ免除措置を再開すると発表。3月上旬にはバリ島を訪れる外国人観光客に対し、入国制限を緩和している。入国時には体温を測定し、37.5度以上で感染が疑われる場合のみPCR検査が実施される。現状ではワクチン接種証明と保険に加入していることが入国の条件となる。

到着ビザ発給の対象国は、日本、米国、中国、ASEAN加盟国などを含めた43カ国・地域。スカルノ・ハッタ国際空港のほか、東ジャワ州スラバヤのジュアンダ国際空港など、空路では7空港からの入国が対象となる。今後はジョクジャカルタ特別州や南スラウェシ州マカッサル、北スマトラ州メダンの空港で海外からの入国者受け入れを再開する予定という。

フィリピンでもワクチンの接種証明があれば、到着時の隔離は不要。現状では到着前48時間以内のPCR検査か24時間以内の抗原検査による陰性証明が必要となるほか、3万5,000米ドル以上の保険証明が求められる。

■ミャンマー、国営保険の加入ネック

ミャンマーでは国内で新型コロナが収束しつつあることを受け、4月1日から専用のウェブサイトを通じた商用の電子査証(eビザ)の発給申請を再開。救援便の利用者については、ワクチンを2回接種した場合の隔離を5日間から3日間に短縮した。4月17日以降は商用便の利用者に限り、1日に短縮。ただし、eビザのシステムでは観光ビザの申請は受け付けていない。商用ビザの場合では、国営保険会社ミャンマ・インシュアランスが販売する旅行傷害保険への加入を義務づけられる。1~60歳であれば、滞在日数によって最低50米ドル(約6,400円)、最高420米ドルの保険商品を購入する。入国前に保険の購入を義務づける例はタイやフィリピンなどでみられるものの、保険会社が指定されることは珍しい。現地の駐在員の間では、国営保険会社の実務に対する信頼度は高いとはいえず、多くの企業関係者が「本当に保険金がおりるのか」との不安を抱いている。一方、カンボジアの入国に必要なのはワクチンの接種証明のみとされ、東南アジアで最も入国制限が「緩い」部類に入る。

※文中に記載された手続きは紙面発行時点のものです。実際の移動の際は大使館や旅行代理店などに必要な手続きをご確認ください。


関連国・地域: タイベトナムミャンマーカンボジアマレーシアシンガポールインドネシアフィリピンASEAN
関連業種: 観光マクロ・統計・その他経済社会・事件

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