2021年の中国のオーストラリアへの投資は6億米ドル(約771億円)と前年の19億米ドルから70%減少したことが、会計大手KPMGとシドニー大学ビジネススクールの調査で分かった。二国関係の冷却化に加え、新型コロナウイルス流行が響いた。資源ブームでピーク時の08年は162億米ドルだった。オーストラリアン・ファイナンシャル・レビューが伝えた。
中国からの投資は5年連続で減少しており、23億6,000万米ドルだった19年も、前年の62億4,000万米ドルから半分以上減少している。
中国は、16年に国内経済促進のため国外への資金流出規制を始めており、一方のオーストラリアも中国からの投資について監視を強めてきた。過去15年間の中国による外国投資では、オーストラリアは依然として米国に次いで2番目に多いものの、オーストラリアの中国資本は大きく消失している。
数年前はヘルスケアとアグリビジネスが中国投資の多くを占めたが、昨年は資源部門の取引4件が70.1%を占め、商業不動産が26.7%だった。
豪中関係の悪化により、中国人投資家はオーストラリアでの取引に慎重になっているとされている。同調査の共同著者であるシドニー大のヘンドリシュケ教授は、中国企業による国内の活動は続くが、ビジネス環境も政治に左右されていると指摘した。
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