2021年のインドは、年初にワクチン接種が始まったことで「コロナ収束」の観測が上がっていた。だが3月下旬から状況が悪化。デルタ株の影響で5月には1日に40万人を超える新規感染者が確認された。感染は5月をピークに縮小へ転じ、ワクチン接種や感染を通じた抗体の保有者が増えたことにより、段階的に減っていった。
インド政府は1月、地場製薬会社が開発した新型コロナワクチン「コバクシン」と英アストラゼネカなどが開発した「コビシールド」の接種を開始した。当初は医療従事者らを対象とし、3月からは高齢者への投与も始めた。
コロナ収束への期待感が高まる中、3月下旬から感染者が急速に増え始めた。西部マハラシュトラ州で最初に見つかった感染力の強いデルタ株と、各地で大規模な祭りが開催されたことが主な原因とされる。首都ニューデリーでは医療用酸素や病床が不足し、深刻な医療崩壊に陥った。
政府発表によると7月までの累計感染者数は3,000万人、死者数は40万人に上った。ただ、実際には死者数は400万人を超え、人口の3分の2が抗体を保持しているとの報告もあり、実態把握の難しさが浮き彫りになった。
1日当たりの新規感染者数は6月から段階的に減り続け、12月は連日1万人を下回っている。懸念材料は、デルタ株よりも感染力が強いとされるオミクロン株だ。国内では26日時点で計422人の感染が確認されている。中央政府は対策として、年明けの1月3日に15~18歳を対象としたワクチン接種を開始すると決定。日本企業が多い北部ハリヤナ州や南部カルナタカ州などの地方政府は、12月下旬から相次ぎ夜間外出禁止令を出し始めた。約14億の人口を抱えるインドがこのままコロナ収束への道筋を進めるかどうかはいまだ不透明だ。
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