【21年の10大ニュース】クーデターで「発展逆戻り」
前年の総選挙を経て、アウンサンスーチー氏が率いる国民民主連盟(NLD)の第2次政権が始まる予定だった2021年は、2月の軍事クーデターで一変した。国軍に反発した市民のデモやストライキで、行政機構が停止。事業中断や撤退を決める外資企業も出て、「アジア最後のフロンティア」の経済発展は「逆戻り」の様相だ。
激しい弾圧で抗議を抑え込もうとする国軍に対し、民主派は「挙国一致政府(NUG)」を発足し、国内は二重政府状態となった。民主派の市民の一部は武器を手に取り、双方で犠牲者が増える事態に陥っている。
最大都市ヤンゴンでは下半期、表立った衝突は減ったものの、特定の対象を狙う爆発や暗殺が散発。失業率は上昇し、働く場を求める人があふれる。
高い潜在性に期待して進出した日本企業の多くは、様子見をしながら現地にとどまる。22年は、国際社会の批判を浴びる軍事政権が事態改善に取り組み、希望の光が少しでも差すことが望まれている。