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デジタル銀立ち上げ目指す 日系2社、金融包摂実現へ

小型家電のリサイクルなどを手掛けるリネットジャパングループ(名古屋市)とITベンチャーのソラミツ(東京渋谷区)は14日、ブロックチェーン(分散型台帳)を活用してカンボジアでデジタル銀行を立ち上げるとの考えを明らかにした。高い経済成長が見込まれるカンボジアで、誰もが金融サービスを利用できるようになる金融包摂(フィナンシャル・インクルージョン)の実現を目指す。

デジタル銀行の立ち上げに意欲を示すリネットジャパングループの黒田社長(左)とソラミツの宮沢社長=14日、東京・千代田区(NNA撮影)

デジタル銀行の立ち上げに意欲を示すリネットジャパングループの黒田社長(左)とソラミツの宮沢社長=14日、東京・千代田区(NNA撮影)

リネットは、カンボジアで自動車のリースやマイクロファイナンス(小口金融)といった事業を展開している。ソラミツは、自社のブロックチェーン技術を生かし、カンボジア国立銀行(中央銀行)が昨年10月に正式運用を開始したデジタル通貨「バコン(Bakong)」のシステムを開発した。

2社は、今年6月にカンボジアに設立した合弁会社「リネット・ソラミツ・フィナンシャル・テクノロジーズ(RSFT)」を通じ、デジタル銀行サービスの事業化を目指す。RSFTは資本金が10万米ドル(約1,100万円)で、リネットが80%、ソラミツのスイス法人であるソラミツ・ホールディングスAGが20%を出資した。

14日に東京都内で記者会見したリネットジャパングループの黒田武志社長は、カンボジアの銀行口座開設率が約20%にとどまる一方、スマートフォンの保有率は約127%に達し、デジタル環境が普及していることに言及。「これまでカンボジアで展開してきたマイクロファイナンス事業は、地方を中心に人の手を使うアナログ式だった。これを、スマホなどを活用するデジタル式にすることで、金融包摂につなげていきたい」と意気込んだ。

銀行ライセンスを取得する具体的な時期などについては言及していない。

また、「ブロックチェーンをコアバンキングシステムと連結することで、コスト競争力のある銀行にしたい」と説明。ブロックチェーン技術を使って少額から高額までの決済・送金を一貫処理できるようにし、手続きの簡素化と低コスト化を実現する方針だ。

一方、ソラミツの宮沢和正社長は「当社が持つブロックチェーンの技術で、社会問題の解決に貢献したい」とコメントした。宮沢氏は、日本の電子マネー「エディー(Edy)」の立ち上げに携わっていた実績がある。

■アジア各国でバコン普及を視野

リネットとソラミツは、バコンの普及拡大にも注力する。リネットが現地での事業を通じ培ってきた営業ノウハウを生かし、加盟店舗の開拓に全力をあげる方針だ。リネットジャパングループの松尾俊哉取締役は、「将来的に加盟店を数百万店舗に拡大していきたい」と意欲を示した。現在の加盟店舗は約5,000店で、小売りのユーザーは約20万人にとどまっている。

バコンは、スマホのアプリを通じて決済や送金ができる仕組みで、銀行間決済を通じた間接的な利用者は8月時点で約590万人。カンボジアの総人口約1,670万人の3割以上を網羅している。

RSFTは今後、国際協力機構(JICA)が支援するバコンの普及に向けた調査・実証事業に、協力企業として参画する。効果的な普及に向けた施策の検討や、カンボジア中銀との協業提案などを目的とする事業で、ショッピングモールなど小売り施設で店舗決済や送金の実験などを行う予定だ。

バコンについてはまた、新たな決済方法として、他国でも導入が進む見通しだ。カンボジア中銀は8月、マレーシアの商業銀行最大手マラヤン・バンキング(メイバンク)でバコンの導入が完了し、マレーシアからカンボジアへのリアルタイム送金が可能になったと発表した。

松尾氏は、「マレーシアを皮切りに、他国からのバコンを通じた送金実現に向けて協議が進んでいる」と説明。アジアでのバコンの普及に期待を示した。


関連国・地域: カンボジア日本
関連業種: 金融IT・通信マクロ・統計・その他経済

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