米国際貿易委員会(ITC)は3月31日(現地時間)、LGエナジーソリューション(旧LG化学バッテリー事業部門)が電気自動車(EV)バッテリーの特許侵害でSKイノベーションを訴えていた問題で、「SKはLGのバッテリー関連の特許を侵害していない」との予備決定を下した。ITCは今年2月に「SKが営業秘密を侵害した」というLG側の主張を認めており、両社の電池紛争は新たな局面を迎えたことになる。
ITCが今回下したのは、LGが2019年9月にSKを相手取り提起した特許侵害訴訟の予備決定だ。
LGは、SKが米国でリチウムイオン電池向け分離膜のコーティング技術や正極材など特許4件を侵害したとして、ITCに訴訟を提起していた。
ITCは今回の予備決定で、分離膜コーティングと関連した技術に関するLGの特許の有効性は認めたが、「SKは特許を侵害しなかった」と判断。残りの3件については、「LG側に特許の有効性がないため、SKの特許侵害も認められない」とした。
SKは今回の予備決定について「歓迎する」とし、「当社独自の技術力を認められた」と強調した。これに対してLGは「今回のITCの決定は残念ながら尊重する」とした上で、「分離膜コーティング技術の特許の有効性が認められたのは大きい。最終決定でSKの特許侵害を証明する。残りの3件でも、特許の有効性を認められるよう準備する」と述べた。
■LGの戦略狂う
この特許侵害訴訟は、8月2日(現地時間)にITC委員会の最終決定を経て確定する。結果次第では、LGは、営業秘密の侵害訴訟に続いて特許侵害訴訟にも勝利することで、SKから損害賠償を求める交渉を有利に展開していくという戦略の見直しを迫られそうだ。
両社の特許訴訟は、LGが同年5月にSKが営業や技術の担当者76人を引き抜いて車載電池の技術や顧客を奪ったことが営業秘密の侵害に相当するとして、ITCに訴訟を提起したことから派生したもの。
SKは防御に向けて、自社の特許を侵害したとして同9月にLGを提訴。訴えられたLGもすかさず、特許侵害でSKを提訴した。
SKがLGを特許侵害で提訴した予備決定は7月末に出る予定だ。
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