大手格付け会社フィッチ・レーティングスが、オーストラリアのソブリン格付けについて、「AAA(トリプルA)」を据え置くと共に、負債水準が過去最大規模となっていることから見通しの「ネガティブ」も維持するとした。一方、米S&Pグローバル・レーティングはニュージーランド(NZ)の格付け「AA(ダブルA)」を「AA+」に引き上げた。23日付地元各紙が伝えた。
フィッチは、オーストラリア経済は新型コロナウイルスによる打撃を長期的な影響なく吸収できたと評価。2020年の実質国内総生産(GDP)の成長率は推定2.8%減となるが、他のトリプルAの各国の中央値3.8%減に比べて高水準とした。
ただし、リスクとして感染再燃時のさらなるロックダウン(都市封鎖)の可能性と政府の負債水準を挙げた。フィッチは連邦と州政府の負債は2022年度に対GDP比で62.9%となると予測しており、これは他のトリプルA各国の中央値である42%を大きく上回る。また、対中関係もリスクと見ているが、これまでのところ大きな影響は出ていないとしている。
■コロナ後の格付け引き上げは初=S&P
S&Pは、NZの格付けをAA+に引き上げ、見通しは「安定」とした。以前はAAの「ポジティブ」だった。新型コロナの発生以来、S&Pがソブリン格付けを引き上げた例は初めて。
他の先進国よりNZ経済の復興は早く、住宅市場の停滞などのリスクへの耐久性もあると評価している。向こう3年間のGDPは年3.2%で拡大すると予想している。
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