インドネシアで13日、中国製薬大手の科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)が開発した新型コロナウイルスワクチンの接種が始まった。経済活動の正常化への期待が高まる中、経済界や専門家は慎重な見方を示している。ジャカルタ・ポストが14日伝えた。
地場証券会社バハナ・セクリタスのエコノミスト、サトリア氏は「ワクチン接種計画によって、消費者の購買意欲が好転するかもしれない。ただ、根本的な経済回復には構造改革を進めて投資を誘致する必要がある」と述べた。
インドネシア英国商工会議所のクリス・レン事務局長は「インドネシアはワクチンの接種開始に対して高い期待を示しているが、実際に消費者の購買意欲回復につながるかどうかを慎重に見極める必要がある」と指摘した。ワクチン接種開始を「大きな一歩」としつつも、本格的な社会行動規制の緩和と、経済活動の正常化を実現するためには、入院患者数が減少に転じなければならないとの見方を示した。
格付け大手フィッチ・グループの市場調査会社フィッチ・ソリューションズのサクシ・シニアアナリスト(薬剤・ヘルスケア担当)は、資金不足の医療システムと検査件数の少なさから、ワクチンの普及には予想以上に時間がかかる見通しと指摘。最初にワクチンを接種する対象を高齢者でなく、18~65歳の約1億8,600万人としている点に言及し、「さらなる感染拡大を引き起こすリスクがある」との見解を示した。
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