オーストラリアのモリソン政権が進めている個人所得税減税策の実施により、連邦政府の税収は中期的に1.8%、金額にして540億豪ドル(約4兆1,763億円)減少することが、オーストラリア国立大学(ANU)の社会調査法研究所の分析で明らかになった。3日付オーストラリアン・ファイナンシャル・レビューが報じた。
モリソン政権は10月に、個人所得税減税策の第2弾を予定より2年前倒しし、今年7月1日にさかのぼって実施すると発表。政府は減税策の実施により納税負担を減らし、2020/21年度中に国内総生産(GDP)を約60億豪ドル、21/22年度には190億豪ドル押し上げられると見込んでいる。
社会調査法研究所は、所得税減税策の最初の2段階で、所得増によって高い税率区分に移行する「ブラケットクリープ」を合理的に廃止することができたとした上で、「最も大きな変化は、税率37%の所得税区分がなくなる第3弾で発生する」と指摘。「モリソン政権が実施している所得税減税では平均税率を引き下げる効果は得られるものの、引き下げで恩恵を受ける大半の所得者は、所得配分で上位20%に入る人々になる」と分析した。
フライデンバーグ財務相は1日に、「新型コロナウイルスで打撃を受けた経済を、民間部門をけん引役として回復させるため、所得税減税策を起爆剤にしたい」と述べ、「財務省のデータでは、所得税減税の効果はすでに銀行預金残高に反映し始めており、約5万人の雇用創出につながるだろう」と期待感を示した。
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