豆腐という言葉にめっぽう弱い。子どものころから好きだったが、最近は好きな具合が加速してきた。折しもきょうは冷たい雨が降っている。こんな寒い日には湯豆腐で一杯、と思うのは年を取ってきたからなのかどうか。
台北の自宅付近に1軒の豆腐店がある。小さな間取りで、店構えは余り覇気がない。売っているのは豆腐や豆乳など数点。職人気質を感じる女性店主と中年女性の店員らはお世辞にも態度が良いとは言えないが、売っている豆腐は実にうまい。生の豆腐に日本のしょうゆを数滴たらして口に入れると、幸せなうまみが口に広がる。
値段も手ごろで、店に行くと近隣住民が誰かしら買いに来ている。笑顔をめったに見せない女性店主を見ていると、なぜか質実剛健という言葉が頭に浮かぶ。飾り気はなくとも、まじめな仕事をする昔気質の店が台湾は多いように思える。(崇)
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