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コロナ禍も上期の輸出力強く 5月から急回復、55億ドルの黒字

ベトナムの2020年上半期(1~6月)の貿易統計が出そろった。輸出額は1,228億米ドル(約13兆円)と前年同期比でほぼ横ばいを維持、貿易収支は55億米ドルの黒字。専門家らは「コロナ禍の下でも底堅かった」とし、予想を上回る回復を指摘した。5月以降に中越間貿易が正常化し、スマートフォンの生産が回復したことが寄与した。

スマートフォン生産の早期回復で、上半期の輸出は勢いを堅持した。写真はサムスン電子のタイグエン工場(VNA=NNA)

スマートフォン生産の早期回復で、上半期の輸出は勢いを堅持した。写真はサムスン電子のタイグエン工場(VNA=NNA)

ベトナム税関総局が発表した貿易統計によると、上半期の輸出額は前年同期比0.3%増の1,227億8,900万米ドル、輸入額は2.8%減の1,173億2,700万米ドルだった。新型コロナウイルスの影響が各国に及ぶ中、輸出のマイナス成長を回避した。第1四半期(1~3月)の伸び(7.5%増)からは減速したものの、4月(前年同月比14%減、前月比27%減)の落ち込みから、5月(9%減、12%増)、6月(6%増、18%増)と力強く回復した。

輸出先トップは米国の315億400万米ドル(14.6%増)で、全体の4分の1以上を占めた。2位は中国の196億6,700万米ドル(18.2%増)。以下、日本(3.7%減の92億9,500万米ドル)、韓国(0.3%増の91億4,000万米ドル)と続き、欧州連合(EU)は7.2%減の159億7,300万米ドル、東南アジア諸国連合(ASEAN)は15.6%減の109億5,100万米ドルだった。対米中が大きくけん引し、底堅さをみせた。

みずほ総合研究所アジア調査部の酒向浩二・上席主任研究員によれば、在宅需要などで「コンピューター・電子製品・部品」(25.4%増の195億米ドル)が好調だったほか、「4月に落ち込んだスマホ生産が、5月以降に回復した」。最大の輸入元である中国との貿易が正常化した結果だと指摘する。

品目別では、「電話・電話部品」(220億米ドル)がトップを堅持。前年同期比では6.5%減ったが、回復しつつある。3位は「繊維・アパレル」で132億米ドル(12.7%減)だった。「秋のスマホ需要が注目である一方、縫製業は欧米の需要減退で雇用面への懸念が広がっている」(酒向氏)という。

■中国向けスマホ輸出が急増、対中貿易が加速

三井住友銀行アジア・大洋州トレジャリー部エコノミストの阿部良太氏は、このほど開催したベトナム経済の景気動向に関するウェブセミナーで「意外な底堅さをみせているのが、対外貿易だ」と指摘。対国内総生産(GDP)比の輸出入シェアが域内でシンガポールに次ぎ2番目に大きいベトナムにとって、「輸出が相対的に強いことが、全体の景気見通しに明るさをもたらす」と述べた。1~6月の貿易収支は55億米ドルの黒字と、前年同期の3.2倍、過去最高だった前年(109億米ドル)の水準となっている。「中国の底堅い景気に下支えされた」(同氏)と分析する。

同期の中国向け輸出の内訳をみると、全体の半数近くを占めるのが「コンピューター・電子製品・部品」(54億米ドル)と「電話・電話部品」(37億米ドル)。コロナ禍の下でPCやスマホ需要の拡大で、それぞれ36%増と2.4倍に拡大した。

みずほ総合研究所の酒向氏は、「中国華南とベトナム北部は経済圏として事実上一体化している」と指摘した上で、「(コロナ禍を乗り切ったことで)今後も物流面で活性化が進めば、ベトナムは対中輸出・輸入の両輪で拡大する」と見通した。

■EVFTAに期待、対米急増のリスク緩衝にも

また、「日本や韓国にとって、中国からの生産移管先としてベトナムの優先順位は上がっている」と酒向氏。これまでは、韓国勢の動きが目立ったが、ヒトの移動制限が緩和され次第、日本勢の動きも活発化するとみる。生産コストに加えて、太平洋に面している点、インフラ整備が進みつつある点などでサプライチェーン(供給網)が構築しやすいためだ。

今後は、生産移管に伴って対米輸出がますます拡大する予測だが、「昨年に為替報告書などであらわになったASEAN諸国への警戒は、緩和している」(同氏)。ただ、再燃の可能性を見据えれば、対米急増のリスク緩衝の側面でも、間もなく開始となるEUとの自由貿易協定(EVFTA)への期待が高まっている。


関連国・地域: ベトナム
関連業種: マクロ・統計・その他経済

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