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【アジアで会う】平山峰吉さん 「ふわごおり」オーナー 第302回 若者が遊びに来るスイーツ店を(ベトナム)

ひらやま・みねよし 1980年大阪府生まれ。23歳のときにアルバイトをしていた居酒屋の店長に就任した。その後京料理屋の店長などを務めた後、大阪で馬肉専門の焼き肉店を出店したほか、現在は東京都渋谷区で完全会員制の馬肉専門料理店を経営する。2019年にベトナムのホーチミン市にかき氷屋「FUWAGORI(ふわごおり)」をオープンし、若者が集まる人気店となっている。

ホーチミン市1区にある店舗の入り口で、まず出迎えてくれるのは高さ2メートルはありそうな白くまの人形だ。店内はピンクを基調としたデザインで、映える写真を求める若者がスマートフォンで記念撮影を楽しむ。

平山さんが経営するふわごおりで提供するのは、店名通り雪のように柔らかいかき氷だ。ミルクがベースの氷を特殊な機械で削り、上に生クリームのほかメニューによって、マンゴーやバナナ、イチゴをトッピングする。値段は1個4万ドン(2米ドル、約190円)で、かき氷ではなく粉雪を食べているような食感だ。

「ベトナムには原宿にあるような凝ったスイーツが少ないと思う。あっても値段が高く、広まりにくい」と平山さんは指摘する。「写真映えするかわいいスイーツ、そして手頃な価格で学校帰りにも寄れる店舗を作ったらみんな喜んでくれると思った」――。「遊びに行った」という感覚が得られる店舗をイメージして作ったと話す。実は甘いものが苦手な平山さんだが、新しいかき氷の開発に向け研究を重ねた。

■中目黒でも人気に

「飲食業以外でビジネスはしないと決めている」と話すほど、飲食業は天職だった。ただ、元々飲食業界に勤めたいと思っていたわけではなく、20歳のときにバックパッカー旅行をしたことをきっかけに漠然と海外でビジネスをしたいと考えるようになった。「海外進出のためにはまず日本一にならないと誰も自分の話を聞いてくれない」と思い、日本一になれる「何か」を探した。平山さんにとってそれが飲食であり、当時はまだ多くの業態がなかった馬刺し・馬肉だった。大阪で馬肉専門の焼き肉店を立ち上げ、その後は渋谷で完全会員制の馬肉専門店「ロッキー馬力屋」をオープン。有名ブロガーに紹介されたことをきっかけに繁盛店となった。

「日本一のお店をやるとお客さまも日本一の仕事する人が来る」と誇らしげに話す。海外ビジネスへの準備を始めた際も、飲食業で培った人脈が助けとなり、多くの人が店舗デザインなどに協力してくれたという。

ふわごおりは17年、期間限定で中目黒にも出店した。海外進出前に店舗運営の仕方などを確認するためで、平山さんにとって一種「予行練習」だった。かき氷を選んだのは、レストランのようにオペレーションが複雑でなく、食材も現地調達しやすいため初の海外でも不安の少ない業態だったからだ。新しい食感のかき氷は瞬く間に人気となり、出店3日目には2時間の行列ができたという。予想以上の反響で、閉店時は多くの人に惜しまれた。

■SNSで話題に

ベトナムは、日本からの直行便もあるほか、タイや中国など他の国へも進出しやすいとみて選んだ。また、ベトナムには「これから経済が良くなる」という未来への期待があふれていた。日本が好景気だった時代を知らないため、一層ベトナムの活気に引かれたという。同国では友人もツテもなかったが「自分は生き抜く力は強いから不安はなかった」と笑う。ただの楽観主義ではなく、飲食店のレベルが高い東京でも成功したという自信があった。ただ、いくら飲食店の経験はあっても、そこは海外。一つの職場に長く勤める考えが薄いベトナム人材の育成には手を焼いたという。

ふわごおりが話題になるには時間がかからず、ベトナムの若者が利用するフェイスブックのコミュニティーページで紹介されたほか、韓国の有名ユーチューバーが来店した直後には1日に約800人が来店した。「広告費?ゼロです」と断言するほど、会員制交流サイト(SNS)がふわごおりを広めた。

■好きなところで暮らす

自身の性格について、「飽きっぽいのが欠点だ」と話す。一つのビジネスが自分なしでも経営できるようになったら、新しいことに興味が移る。飲食業の魅力は、「言葉の壁さえ超えれば、世界中で経営できるところ」とし、今後はベトナム以外の国で新たな飲食ビジネスを始めたいと展望を語った。

「日本にずっといなきゃいけないと思うから苦しくなる。好きなところ、好きな国に住んだらいいですよ」。日本で培った経験やノウハウを武器に、新しく・楽しめる飲食店を世界に発信し続ける計画だ。(ベトナム版編集・大坪若葉)


関連国・地域: ベトナム日本
関連業種: 社会・事件

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