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【アジアで会う】泉美帆さん マネジメントコンサルタント 第298回 女性のキャリアアップを応援(シンガポール)

いずみ・みほ 愛知県出身。立命館アジア太平洋大学卒業。教育サービス業界で10年以上、海外事業の拡大などに携わる。シンガポールとマレーシアで駐在も経験。仕事と育児の傍ら、英国マンチェスター大学大学院で経営学修士(MBA)を取得。その後、シンガポールの日系コンサルティング会社に入社。アジア各国を飛び回りながら、一男一女の母としても日々奮闘している。

日系企業の海外進出を支援するグローバル・パートナーズ・コンサルティング(GPC)のアジア地域本社で、アドバイザリー業務を担当している泉さん。1カ月に1度は海外出張でシンガポールと他国を行き来する生活だ。

そんな泉さんの朝は、午前7時半に職場のビルの隣にある幼稚園に子ども2人を預けることから始まる。8時に出社して、定時に退社。幼稚園に子どもを迎えに行って帰宅する。

「毎日の楽しみは、就寝前に子どもたちに絵本の読み聞かせをすることです」と泉さんは柔らかくほほ笑む。家族でゆっくり過ごせる唯一の時間だからこそ、大切にしているのだという。

泉さんによると、シンガポールには女性がフルタイムで働き続けられる選択肢がたくさんある。幼稚園は子どもを1日預かってくれるし、家でメイドを雇うこともできる。「何より、女性が働くのが当たり前という風土があるのが、日本とは違いますね」と言い切る。

GPCに入社して3年になるが、以前は日本の教育関連企業の経営企画室で、海外拠点長に必要なアドバイスをする業務をしていた。シンガポールとマレーシアで4年間の駐在も経験。その間に経営をあらためて学びたいと思い、MBAを取ることにした。半分はオンラインで、残りはシンガポールと英国のキャンパスで授業を受けた。

駐在の後半にマレーシア出身の夫と結婚。1人目を妊娠した時点で、日本に戻るよう辞令が出た。夫と離れるのは辛かったが、いったん帰国。育休中もMBA取得に向けて猛勉強の日々が続いた。「ちょうど英国と時差があったので、夜な夜な授乳しながらオンライン授業を受けていました」と泉さんは当時を振り返る。仕事を続けながら3年間でMBAコースを修了した。

■キャリア求めてシンガポールへ

転機が訪れたのは、ようやく育休が明けようかという時だった。「さて復帰しようと思ったら、保育園に落ちてしまったんです」。このまま日本でキャリアを積んでいくのは難しいと感じ、シンガポールに拠点を移すことを決意。現地で就職活動をして、GPCに入社が決まった。

新生活に向けて腕まくりをしていた矢先、2人目の妊娠が分かった。GPCから内定が出た直後だった。居ても立ってもいられらず、社長に連絡すると「どこに問題があるの。雇用とは何も関係ないでしょう」とあっけらかんに言われた。「拍子抜けしましたね。心の広い会社だと思いました」と泉さんは思い返す。

シンガポールでは、妊娠しても3~4カ月で復帰するため、そんなに大きなことではないそうだ。泉さんも、産後2カ月でフルタイム復帰。2週間後には1週間のインドネシア出張にも出掛けた。

出張時も含めて産後2カ月から2年までは、赤ちゃんを1日預かってくれる「ナニー」を利用。「夫がどうして良いか分からない、なんてこともないから安心して出張にも行けました」と泉さんは笑う。

今は子ども2人が同じ幼稚園に通っている。シンガポールはオフィスビルの中にも幼稚園が多くあり、予算や希望に合わせて場所を選べるのも魅力だ。「私みたいな働き方が当たり前。だからこそ、女性が働き続けられるのだと思います」。

■働き続けられることを伝えたい

自身の経験を生かして、女性のキャリアアップの手助けをしたいという思いから、現役学生や社会人になったばかりの人向けに将来のアドバイスをする活動もしている。大学の校友会役員の一人として、シンガポールでの校友イベント参加のほか、母校で講演会の講師を務めたこともある。泉さんは「女性も働き続けられるよ、というメッセージを伝えたい」と力を込める。

女性の社会進出といいつつも、人々のマインドセットが変わらないとなかなか難しい。「今後はこういった活動の幅をもっと広げていくのが目標です」。生き生きとした表情で泉さんは語った。(シンガポール&ASEAN版編集・上村真由)


関連国・地域: シンガポール
関連業種: マクロ・統計・その他経済雇用・労務社会・事件

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