魚はいかん、菓子を食え。珍妙な標語のようで実は、マレー語を覚える際に役立つ語呂だ。イカンは魚、クエは菓子を意味する。そう思って、小さい子どもに「クエをどうぞ」と手渡すと、マレーシア人から「それはスナックだ」と訂正された。
クエとは、日本でいう和菓子のような、この国の伝統的な甘味品を指すそうだ。ビスケットやポテトチップなどの洋物がスナック。マレー語は基本的に時制がなく、昨日、きょう、あすと文末に付け足すことで過去、現在、未来を伝える簡潔な言語だが、クエへのこだわりには文化がのぞく。
いつもサンドイッチを買うフードトラックの店主がおまけ、といってくれたのは色鮮やかなクエだった。蒸したもち米に植物のパンダンを使った緑色のあんをのせて固めたものだ。手作りの食感と鮮やかな南国らしい色彩は、たしかにスナックと呼ぶには失礼かもしれない。(丑)
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