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【アジアで会う】ノファ・デウィさん ジャムウカフェオーナー 第276回 伝統生薬を若い世代にも(インドネシア)

ノファ・デウィ・スティアブティ 1975年生まれ。東ジャワ州スラバヤ出身。オーストラリアでマーケティングや国際ビジネスを学んだのち、2012年からジャカルタでカフェ「スウェ・オラ・ジャムウ」を開業。インドネシアの伝統生薬ジャムウを提供する。現在はジャカルタ、スラバヤ、バンテン州タンゲラン、バリ島の観光地クタに店を構える。同時にジャムウに関するワークショップも開講して、若い世代にもジャムウ文化を広めている。著作は「ジャムウの物語:インドネシアに伝わる美と健康の遺産」(フレグランスジャーナル社)のタイトルで日本語にも翻訳されている。

インドネシア人なら知らない人はいないジャムウ。ショウガやニッキ、ウコンなどさまざまな自然素材を調合して飲用する。屋台や伝統市場で売り歩くおばさんに調合してもらったジャムウをその場で飲むのが一般的だが、包装パック入りで売られているものもある。ただどこの国でも同じように、伝統的な生薬について名前は知っているが実際に飲んだことはないという若い世代が増えている。

南ジャカルタにある「スウェ・オラ・ジャムウ」は、一見おしゃれなカフェ風。若い世代や外国人にも気軽に来てもらえるよう、ジャムウを飲みやすいドリンクにアレンジして提供している。オーナーのノファさんは「特にジャカルタの中心部ではジャムウ売りのおばさんや屋台も少なくなったので、若いインドネシア人にジャムウを広めていこうと思った」と店を始めた動機を話す。「特に最近はITを活用することで、ジャムウを消費者により身近なものにできるようになった」。

■文化でありストーリー

ノファさんは、小さい頃から祖母の手作りのジャムウと慣れ親しんできただけに、ジャムウへの思いはとても強い。そのため若い人の「ジャムウ離れ」が気になっていた。「ジャムウは中国の漢方と同じで、インドネシアの文化であり、ストーリーであると言える。伝統的な食文化が忘れられてしまうのは悲しい」と話す。

カフェを立ち上げたときも、「若者へのアピール」を念頭に内装にもこだわり、店の雰囲気を大切にした。メニューも、店内で提供するジャムウや料理に使う材料や食材はすべてジャカルタ近郊の農家から直接購入している。伝統的なジャムウは苦みが強いので、なるべく若者に親しみやすいように見た目をカラフルにしたり、効能を落とすことなく口当たりをよくするため調合を変えたり、野菜や果物を加えてスムージーのようにしたりするなど工夫をこらしている。持ち帰りできるボトル入りジャムウ飲料も販売する。カフェで提供するジャムウは約70種類。1杯1万5,000ルピア(約117円)からに設定。「有名チェーン店のコーヒーよりも健康に良くてお手頃な値段」と笑う。ボトル入りジャムウは、外国の駐在員も多く利用する日系や中高所得層向けのスーパーでも取り扱われるようになった。

■デジタルと伝統の出会い

カフェを始めた当初は、どのように情報発信するかなど、マーケティングに苦労した。当初は知人を通じた口コミで広まっていった。最近の若い世代はオーガニックやデトックスに関心が高く、ジャムウに関しても「必要な情報を提供すると関心を示してくれる」と話す。

最近は、インスタグラムなどの会員制交流サイト(SNS)で情報を提供、電子商取引(EC)サイトを通じた直販や配車アプリの商品配送サービスも活用している。「写真など映像を通じて若者に最新情報をじかにアピールできるのがSNSの強み。伝統とデジタルが融合して、ジャムウ売りのおばさんに代わって配車アプリがジャムウと消費者をつなげていると言ってもいい」。

ジャムウを実際に作ってもらうワークショップの開催にも力を入れる。「ジャムウの香り、味、そして作る過程を体験してもらいたい」と話す。インターナショナルスクールや地元小学校でもイベントを行う。日本人を含む外国人も多く店に来てくれるようになった。ジャムウに理解を示してくれるパートナーが見つかれば、「将来は海外進出も検討したい」と夢は膨らむ。(インドネシア版編集・六角耕治)


関連国・地域: インドネシア
関連業種: 社会・事件

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