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30代のソウル「離脱」加速 不動産高騰、再上京は難しく

首都ソウルの不動産価格の高騰で、新婚夫婦など30代を中心に郊外や地方への人口流出が目立っている。「お金を貯めて再びソウルに戻る」と意気込む世帯も多いが、事態はそう簡単でもなさそうだ。韓国の住宅事情をルポする。【中村公】

ソウルのマンションは若者にとって「高根の花」だ(NNA撮影)

ソウルのマンションは若者にとって「高根の花」だ(NNA撮影)

ソウルの不動産平均価格(実取引基準)は、今年8億4,298万ウォン(約7,800万円)をつけ、7年前の12年(4億5,614万ウォン)と比べ、ほぼ2倍に上昇した。朴槿恵(パク・クネ)政権時の規制緩和を機に投機目的の売買急増が背景にあり、改めて「不動産神話」の健在ぶりを見せつけた。

■「ローン上限40%」が足かせ

ソウルの私立高校に勤めるハ・ドンウォン(38)氏は、「都心で最も安い」とされる地域の中古マンションの購入を考えていた。築20年の86平米で4億3,000万ウォン。江南地区から2駅で、投資価値もある。ただ、銀行からの融資額が極端に少なかったことから、断念を余儀なくされた。

文在寅(ムン・ジェイン)政権は17年8月、不動産の高騰を防ぐために都市銀行の住宅担保ローンの上限額を大幅に引き下げた。ソウル市内のマンションを購入する場合、40%までしか融資が受けられないという厳しい規制だ。

ハ氏のケースでみると、マンション価格に対し、銀行からは1億7,200万ウォンしか借りることができない。手持ちの資金と合わせても3億ウォン足らずで、残りは高金利の貯蓄銀行などから工面するしか手だてがなかった。

ハ氏はソウルに未練を残しつつ、「通勤に時間はかかるが、郊外で暮らすことを決めた」と話す。郊外なら築10年以内の物件が多く、なにより融資額が60~70%まで引き上がるため無理のないローンが組めるという利点があるためだ。

■30代人口、7年で18万人減

こうした条件から新婚夫婦を中心にソウル離れが加速した。韓国統計庁によると、ソウルに暮らす30代の人口は14年の174万人から昨年は156万人まで縮小。首都人口の減少を後押ししている。

問題は、一度郊外や地方に移れば、ソウルでのマイホームの夢が遠のいてしまうことだ。首都圏の中でもソウルは不動産価格の上昇スピードが突出している。生活を切り詰めてお金を貯めても、自己資産と都心のマンション価格の相場との差は開くばかりだ。

「神話はもうすぐ崩壊する」。人口減の時代への突入を控え、不動産価格の暴落を予測する見方もある。ただ、こうした言説は10年、15年前から出回っており、いまや少数派の意見となっている。多くの専門家は「香港やシンガポールなど世界の都市に比べ、ソウルの不動産価格はまだ低水準だ」との考えで、今後も上昇傾向で推移すると予測する。

結局、親からの支援がなければ買えないソウルのマンション。「(ロッテ)キャッスル」「(現代)ヒルステート」など、その名のごとく庶民には手の届かぬ存在となっている。


関連国・地域: 韓国
関連業種: 建設・不動産

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