シンガポール金融管理庁(MAS、中央銀行に相当)が4日発表した最新の民間エコノミスト調査で、2019年の経済成長率の見通し(中央値)は0.6%となり、前回調査時(6月発表)から1.5ポイント低下した。製造業や卸売・小売業でマイナス成長が予想されている。
MASは3カ月ごとに民間エコノミストによる経済見通しの調査を行っている。今回は8月に実施し、23人から回答を得た。
貿易産業省は8月に、19年の成長率の予測レンジを0.0~1.0%に改定。今回の調査結果は、貿易産業省の予測レンジのほぼ中間となった。
最新の調査では、製造業の成長率がマイナス2.4%と、前回から2.2ポイント低下。卸売・小売業は2.5ポイント低下のマイナス2.8%となり、業種別で最も低い予測値となった。
一方、建設は0.8ポイント低下したものの、2.7%のプラス成長が見込まれている。
■19年輸出は9%減と予想
19年の輸出(石油と再輸出を除く=NODX)の伸び率見通しはマイナス9.2%。前回調査のマイナス2.1%から下落幅が拡大した。
インフレ率の見通しは、前回調査の0.9%から0.7%に低下した。コアインフレ率(運輸や住宅など、政府の政策の影響を受けやすい項目を除外したインフレ率)も0.2ポイント低下の1.2%と予測されている。
国内経済の下振れリスクとしては「貿易摩擦の激化」を懸念する回答者が89%と最も多かった。前回の94%からは減少した。「中国経済の減速」は約3ポイント低下の50%。
逃亡犯条例に反対するデモで香港経済が混乱したことを背景に、「地政学リスク」を懸念する回答者は、前回の6%から39%へと大幅に増加した。
上振れ要因としては、「貿易摩擦の緩和」が61%で、前回から10ポイント低下。「景気刺激策」は18%から44%へと上昇した。「金融緩和」は10ポイント上昇の33%となった。
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