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条例案反対で議会周辺を占拠 企業活動に影響、日系も対応急ぐ

香港の立法会(議会)周辺で12日、中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正に抗議するため、多数の若者らが集まり、主要幹線道路を占拠した。立法会のある香港島・アドミラルティー(金鐘)では複数の銀行や小売店が営業を停止するなど企業活動にも影響が出た。香港の日系企業も社員の安全確保のため対応に追われた。

「逃亡犯条例」改正に抗議するため、多数の若者らが立法会周辺の道路を占拠した=12日、アドミラルティー(NNA撮影)

「逃亡犯条例」改正に抗議するため、多数の若者らが立法会周辺の道路を占拠した=12日、アドミラルティー(NNA撮影)

大勢の市民らは12日朝から、立法会と香港政府本部南側を走る幹線道路のハーコートロードや立法会北側の龍和道を占拠。2014年の大規模民主化デモ「雨傘運動」以来の幹線道路の占拠となった。デモ参加者は数万人規模が集まったとみられ、条例改正案の撤回などを求めてシュプレヒコールを上げた。午後には香港鉄路(MTR)アドミラルティー駅南側のクイーンズウェー(金鐘道)にも占拠エリアを広げた。

デモ参加者は警察に向かってれんがやペットボトルなどを投げつけ、一方の警察は催涙スプレーを噴射。衝突が激しくなった夕方には催涙弾やゴム弾などを発射し、抗議していた若者が逃げ惑った。警察は午後7時ごろまでに、ハーコートロードを制圧した。

立法会では12日、条例改正案の審議を行う予定だったが、延期を決めた。審議再開の日時は不明だが、政府の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は同日、改正案を撤回しない方針を改めて表明した。

立法会を包囲する計画を表明していた香港の民主派団体、民間人権陣線(民陣)は同日、警察側に立法会そばで集会することを申請し、警察側からは反対の通知を受けていないと発表した。

■銀行が営業停止

大規模デモに発展したことを受けて、香港で営業する7銀行は午後2時ごろまでにアドミラルティー一帯にある支店の営業を一時停止した。このうち英系金融大手HSBCは商業施設「パシフィック・プレース(太古広場)購物商場」にある2店舗の営業を同日正午から停止した。

英系金融大手スタンダード・チャータード銀行、HSBCグループ傘下の香港地場銀、恒生(ハンセン)銀行、中国中信集団(CITIC)系の中信銀行(国際)、香港の地場大手、東亜銀行、シンガポール系の華僑永亨銀行(OCBC永亨銀行)、DBS銀行(香港)はそれぞれアドミラルティーにある支店の営業をとりやめた。

パシフィック・プレースでは、高級ブランドや衣料品などを扱う複数の店舗が営業終了時間を早める対応を取った。

MTRを運営する香港鉄路公司(MTRC)は同日午前、警察の要請に応じて、一時的にアドミラルティー駅での停車を見送る措置を取った。

運輸署によると、デモに絡み、同日午後4時半までにバス19路線が運行を中止した。

デモの影響を受け、林鄭行政長官らが出席する予定だった政府本部でのイベントが中止となった。

衝突が激しくなる中、催涙ガスから逃れるデモ参加者ら=12日、アドミラルティー(NNA撮影)

衝突が激しくなる中、催涙ガスから逃れるデモ参加者ら=12日、アドミラルティー(NNA撮影)

香港政府観光局(HKTB)は、14~16日に中環海浜(セントラル・ハーバーフロント)で行う予定だったドラゴンボート・カーニバルを中止することを決めた。

■退社前倒し

香港に進出する日系企業は、社員の安全を確保するため対応に追われた。

アドミラルティーにオフィスを置く日系企業は12日昼ごろ、社員に自己判断での帰宅を認めた。同社社員によると、日本人の社員は社内に残ったが、現地スタッフの半分程度は帰宅したという。今後の対応については「状況次第となるため読めない」と話した。

九龍・尖沙咀にある日系企業も事態が今後拡大することを想定し、デモの状況に応じて、コアタイムなしのフルフレックス勤務を臨時導入することを決めた。

別の日系企業は社員に対し、◇デモが行われているエリアを避けて移動すること◇デモを見物しない◇デモ参加者に関わらない◇外出中にデモに遭遇した際には、安全な場所に避難すること――などを通知した。

一方で、午後2時時点で対策を取っていない日系企業もあった。

香港の日本総領事館によると、午後6時半ごろまでに、立法会周辺のデモ隊と警官隊との衝突に絡み、日本人が巻きまれた情報はないという。

政府労工処は12日午前、雇用主に対して、アドミラルティーなどの道路状況に鑑みて従業員に柔軟な出勤を認めるよう通知を出した。教育局は学校に対して突発事態に対応するよう呼び掛けた。

■混乱続く恐れも

香港メディアによると、デモ参加者と警察との衝突で、少なくとも22人が負傷し病院に搬送された。

学生が授業ボイコットを継続するとの予測があり、12日夜時点でアドミラルティーにとどまるデモ参加者が多くいることから、13日も政府本部周辺で混乱が続く恐れもある。

香港の民主派団体は9日、逃亡犯条例改正案に反対する大規模デモを実施。参加者は主催者発表で103万人(警察発表でピーク時に24万人)に上った。林鄭行政長官は10日、撤回に応じない方針を明らかにしていた。


関連国・地域: 香港日本
関連業種: 金融運輸マクロ・統計・その他経済政治社会・事件

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