ミャンマーで先週末までに成立した知的財産関連の4法について解説するセミナーが28日、最大都市ヤンゴンで開かれた。施行に合わせて新設する知的財産庁は、首都ネピドーのほか、ヤンゴンにも事務所を設ける方向で検討されている。講師を務めた国際協力機構(JICA)専門家の高岡裕美氏が明らかにした。
ミャンマー政府は、来年中を目標とする知的財産庁の設立に合わせて知財4法を施行する方針。現在はネピドーの教育省に知財部局があるが、新たな知財庁は商業省管轄となる。ヤンゴン事務所の開設が実現すれば、日系を含む進出外国企業にとっても利便性が大きく高まりそうだ。
知的財産庁の設立時期は決まっていないが、法整備を支援する高岡氏は「1年から1年半後になるのではないか」とみている。現在は、各法の施行規則やガイドラインの作成、大学とも協力した人材育成などが急ピッチで進められている。
ミャンマーでは現行の著作権法が機能しておらず、民政移管後に、ミャンマー政府が日本政府の支援を受けて著作権法の改正と商標、意匠、特許の各法の整備を進めてきた。今年に入り、国会での法案審議が本格化し、今月25日までに4本の関連法全てが大統領署名を受けて成立した。新たな知財関連法のもとでは、著作権や特許の侵害に対する罰則が設けられ、進出企業の模倣品対策などに寄与することが見込まれている。
セミナーでは、高岡氏とTMI総合法律事務所の弁護士である甲斐史朗氏が、4法の施行で見込まれる事業環境の改善点や課題、想定される企業の対応などを、具体的な事例を挙げて講演。約50人が参加した。
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