• 印刷する

【アジアで会う】朴起煥さん 広報会社エマーソンK代表 第247回 PRとは「正直さ」(韓国)

パク・ギファン 1971年韓国・釜山生まれ。幼いころからスポーツに熱中。韓国体育大学では日本の生涯スポーツに当たる「社会体育」を専攻。雑誌社「ベースボールコリア」に就職するも、アジア通貨危機で職を失う。2002年の日韓ワールドカップ当時、アディダスコリアの広報チームとして公式球の広報を手掛ける。アディダスコリア退職後に国内外のPR会社を経て、米PR大手エデルマンの韓国法人、エデルマンコリアの理事として活躍。13年に独立し、広報代理会社のエマーソンKパートナーズを立ち上げた。

ソウルの中心にある李氏朝鮮時代の王宮「景福宮」脇に事務所を構える広報代理会社のエマーソンKパートナーズ。同社は2013年に設立された新興のPR会社だが、地場家具ブランドのカサミアのほか、韓国富士ゼロックス、グローバル物流大手TNTエクスプレスの韓国法人TNTコリア、米自転車大手トレック・バイシクルなど数多くのグローバル系企業のPRを担当した実績も持つ。

同社の設立者で、代表理事を務める朴起煥さんは情熱的な性格の持ち主だ。「新しいメッセージ、未来のメッセージを伝えることがPRだと思っています」と語る朴さんに、「PRにおいて何が最も重要か」と尋ねると、すぐに「正直さ」という答えが返ってきた。

「自分が取り組む仕事の意味を把握するコミュニケーションが重要ですが、それはつまり、正直な自分の気持ちを伝えることです。例えば、100万円相当の自転車をPRするとしましょう。相手に心に伝わるようなPRのためには、実際に使ってみることが大事なんです」と力を込めて語る。実際に、とあるキッチンメーカーの製品をPRした際、自宅に製品を取り入れ、妻と娘をモデルに立てて広報したことがあるという。PRにおいて、妥協しないプロフェッショナルな心構えが、朴さんの最大の強みだ。

■スポーツがPR人生の土台に

そんな朴さんだが、初めからPR業界を志していたわけではない。幼いころはスポーツ選手を目指していた。中学から射撃競技を始め、高校もスポーツ優待で入学。当時は、ソウル五輪(1988年)の開催もあり、国全体がスポーツ振興に取り組んでいた時代だったそうだ。

結果的にスポーツ選手にやるという夢は叶わなかったが、韓国体育大学に入学して生涯スポーツを専攻。さらに大学卒業後、野球雑誌を発行する「月刊ベースボールコリア」へ入社し、社会への第一歩を踏み出した。

しかし、1997年にアジア通貨危機が起きたことで職を失ってしまう。「3人に1人が失業してしまう厳しい状況でした」と、朴さんは当時を振り返る。この頃初めて韓国で開かれた採用博覧会で、なんとかスピーカー製造会社に就職。しかし、「大学までスポーツを学んだのにこのままでいいのか」という思いを抱くようになり、再び転職を決意。紆余曲折の末、アディダスコリアに入社することになる。「PRの経験がない私は、本来ならば門前払いの扱いでしたが、当時のチーム長が私の自己紹介書に込めた『情熱』を買ってくれた」という。PRの右も左も分からない状況だったが、チーム長から「PRとは関係」という言葉をモットーに、毎日1冊ずつPR関連書籍を読むなどして基礎を磨いた。

一方、当時のアディダスコリアは、非常に重要なプロジェクトを抱えていた。2002年に開かれた日韓共催のサッカーW杯だ。朴さんは同大会に、アディダスコリアのブランドPRマネジャーとして参加し、公式ボール「Fevernova」の広報を担当することになる。「自国開催のW杯で、公式ボールのPRを担当した人は世界的にもそう多くはないでしょう。これは、私の人生にとってとても大きな出来事でした」と当時を振り返る。

■日系企業の特徴は「正確さ」

朴さんは、数多くの企業のPRを担当しながら感じた日本と韓国の企業の違いは「正確さ」とみる。「日韓W杯公式ボールのコンセプトが、the most precise football in the world(世界で最も正確なサッカーボール)でしたが、日本企業の特徴はその『precise』に当たると考えています。『石橋を叩いて渡る』という言葉があるように、チェックを怠らない。とても細かくガイドラインが定めらており、(取引相手や関係会社との)配慮もある」という。特に、相手をリスペクトする企業文化は、「韓国企業が学ぶべき点」とみる。

その一方で、「果敢な企業改革には不利に働く恐れもある」とも指摘する。「革新を起こすには、それまでに築いた体制を崩すことが必要な場合もある。規則や規定、ルールを大事にする日本企業はそれが難しいのではないか」と正直な見解を話してくれた。

朴さんは、「PRという事業は70~80代になっても続けられる点もメリット」とみる。しかし、そのためには「高い専門性と目標意識」が肝心と力を込める。「なぜこの事業をしているのか、顧客との関係性を維持していくにはどのようにすればいいのか、常に考えています」。その推進力となるエネルギーを取り込むために、私生活でも新しいものを探求するようにしているという。23年の経歴を持つ朴さんだが、「PR人生」はまだ始まったばかりだ。(韓国版編集部=清水岳志)


関連国・地域: 韓国
関連業種: マクロ・統計・その他経済

その他記事

すべての文頭を開く

LGが韓国でスマホ生産停止 ベトナムに移管、組織改編を加速(04/26)

1~3月期GDP、前期比でマイナス成長に(04/26)

釜山港湾公社、越に東南アジア代表部を開設(04/26)

国民の安全と民生経済支援、補正予算案発表(04/26)

SKハイニックス、1Q営業益69%減少(04/26)

サムスンSDS、1Q営業益は9%増(04/26)

現代自が好転、1Q営業益は21%増(04/26)

起亜自、中国生産車をアフリカ・東南ア輸出(04/26)

発電Bグリム、中韓企業と協業推進(04/26)

起亜自1Q営業益94%増、訴訟引当金の戻入で(04/26)

すべての文頭を開く

※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社エヌ・エヌ・エーは一切の責任を負いません。

NNAからのご案内

出版物

SNSアカウント

各種ログイン