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《労使》《セミナー》東南アジア現法の業務効率化

エヌ・エヌ・エー(NNA)と、情報通信提供サービスのネクスウェイ(東京都港区)、キヤノンITソリューションズ(同品川区)の3社は2月28日、「給与動向調査から見た東南アジア現地法人の業務効率化セミナー」を東京都内で開いた。NNAグローバルリサーチグループの早川明輝、キヤノンITソリューションズ製造・公共・流通営業本部海外営業グループの吉川考文氏、ネクスウェイグローバル事業推進室の藤川省吾氏の3人が講演した。企業の担当者約40人が参加し、進出先の人件費の最新動向と企業が取るべき営業戦略に真剣に耳を傾けた。

<現地発、東南アジアにおける人件費のいま>

NNAグローバルリサーチグループ 早川明輝

■東南アジアにおける給与全体の概要

NNAは、アジア各国・地域に進出する日系企業に対して、1999年から給与や昇給率等に関するアンケートを続けてきた。18年9月1日~30日に実施したアンケートは、回答数が2,273社と、17年より35社増加。より信頼性の高い調査結果となった。

回答社の属性のうち、製造業は1位が電機・電子・半導体で21%、2位は四輪二輪・部品で20%だった。3位以降は、機械・機械部品、石油・科学・エネルギーが続いた。非製造業では、貿易・商社が24%で首位、2位はサービス業で12%、3位は運搬・倉庫で10%だった。どの国・地域でも、昨年と比較して割合に変化はほとんどなかった。

平均給与額に関しても、17年と18年でほぼ差はなかった。生産部門、営業部門に分類した場合も同様で、若干増加している国・地域があった程度だった。

東南アジア全体の18年の平均昇給率は、17年より0.2ポイント上昇して6.9%だった。19年の昇給率は6.1%に下降すると予想される。営業部門全体を見てみると、18年の昇給率はミャンマーやフィリピン以外の主要6カ国が前年実績を下回った。しかし、下げ幅は1ポイント未満、最高でも0.5ポイントの範囲だったため、給与額自体は増加していると推測される。営業管理職も営業全体とほぼ同じ傾向だった。他方、営業部門の非管理職では、前年より上がった国・地域が4カ国に上っており、19年もほとんどの国や地域で引き続き上昇していくと考えられる。

(出典:NNAアジアビジネスデータバンク)

(出典:NNAアジアビジネスデータバンク)

経費削減を目的とした現地化の推進で、ローカルスタッフの需要が高まったことや、最低賃金の上昇が全体の給与額を引き上げたことが大きい。とくにミャンマーでは、18年の最低賃金が前年の日額3,600チャット(約260円)から同4,800チャットに上昇した。

国内総生産(GDP)に関しては、マレーシア、シンガポールは減少傾向にあるものの、タイは順調に回復の兆しを見せている。インフレ率をみると、インドネシア、マレーシア以外は上昇しており、とくにミャンマーは15年から17年にかけて大きく下降した後、再度上昇傾向に入っている。

これらの指標に加えて、19年は4~5月にインドで、3月下旬にタイで総選挙が実施される予定だ。インドネシアでも4月に大統領選挙がある。選挙の結果によっては、政策が変わったりして社会的混乱が生じ、経済に何らかの影響を及ぼす可能性がある。今後の選挙が非常に重要なキーワードになるだろう。

■人件費上昇に対する考え方と対応策

日系企業の9割が人件費の上昇を実感しており、また約5割が許容できる限界点は現在の水準だと回答している。これらの割合は3年間、ほとんど変化していない。

許容限界点突破後のアクションについては、自動化や駐在員の削減といった回答もあるが、業務効率化をキーポイントと考える企業の割合が増加している。今後、企業側はアウトソーシングの推進などの体制の見直しや営業力の強化が必要だ。

これからもアジア各国・地域における経済発展は期待されるが、人件費高騰は現地の経営にとって大きな悩みだろう。

これに対応するため、職位ごとに日系企業の最新給与情報など詳細なデータを提供するNNAアジアデータバンクは役立つかもしれない。基礎統計データだけでも、GDPや消費者物価指数(CPI)を中心に約100項目を掲載しており、経年比較も容易だ。これらのデータは、給与の決定やアテンドの際に把握しておく必要がある。

<第二部:現地法人が独自でらくらく進めることができる業務効率化>

キヤノンITソリューションズ製造・公共・流通営業本部海外営業グループ 吉川考文氏

■東南アジア現地法人でIT化・業務効率化が進まない原因

東南アジアの現地法人では、IT分野への大きな投資が困難なことや、IT専任部署の設置が遅れていることなどが、業務効率化を妨げている。言語や文化の違いも大きな要因の一つ。このため、企業側は人手を増やす必要があり、人件費の負担が増える結果となっている。

■新しいサービスの活用

そこで、「KINTONE」や「TECHEME BIZ」などの新しいサービスを導入すれば、より効率的な事業展開が可能になるかもしれない。

「KINTONE」は、専門的な知識がなくても、安く簡単に現地企業に適したシステムを作成できるサービスだ。顧客や案件の管理、不具合への対応管理などをテンプレートに基づきカスタマイズ化できる。

次に「TECHEME BIZ」を使えば、画像や動画を活用したマニュアルを提示することで、従業員に業務手順を正確に伝えることができる。企業側はパソコンを一切使わず、スマホだけで操作が可能。これらを活用することで、生産性の向上やコストの大幅削減など、さまざまなメリットが期待できる。

<第三部:現地MD/営業GMから聞く3つのリアルな営業課題>

ネクスウェイグローバル事業推進室 藤川省吾氏

■東南アジア市場開拓の課題

日系企業の現地法人は、さまざまな営業課題に悩まされている。例えば、効率的な事業展開のためのニーズがどこにあるのか。どうしたら現地代理店が思うように動いてくれるか。人手不足の中でどのように新規開拓をすれば最も効率的なのか。これらの問題に対応するためには、精緻な調査が必要だ。

■低コストでスピーディーな調査を

ネクスウェイは、営業やマーケティングが活用しやすい調査結果を出すために、どこにニーズがあるのかを見極め、マス媒体で埋もれがちな宣伝をターゲットごとに内容を変えてダイレクトメール(DM)を送付するなど、タイミングを重要視した営業を打ち出している。調査をもとに、限られた人員の中で実行可能な効率的アプローチを立案するほか、代理店に対する支援なども行っている。

講演するキヤノンITソリューションズの吉川考文氏=28日、東京(ネクスウェイ提供)

講演するキヤノンITソリューションズの吉川考文氏=28日、東京(ネクスウェイ提供)


関連国・地域: タイベトナムミャンマーマレーシアシンガポールインドネシアフィリピンインド日本アジア
関連業種: マクロ・統計・その他経済雇用・労務

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