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【アジアで会う】筒井美沙子さん 語学講師 第210回 地方から伝える韓国語(韓国)

つつい・みさこ 1980年11月生まれ、徳島県出身。大阪国際女子大学人間科学部を卒業後、故郷徳島にて就職。趣味で始めた韓国語の勉強に熱中し、2006年に1年間の語学留学で韓国に渡る。帰国後、会社員として再就職した後、13年に韓国語教室「ラララ語学教室」を立ち上げる。地元・徳島だけでなく、大阪でも出張教室を開催している。

徳島県吉野川市に、約80人の生徒が通う語学教室がある。教室名は「ラララ語学教室」。学ぶ言語は韓国語。この教室を立ち上げた講師の筒井美沙子さんは、「まさかこれほど大きくなるとは」と、自分自身も驚きを隠せないという。

ラララ語学教室の始まりは、13年にさかのぼる。筒井さんは「そもそも、友達から韓国語を教えてほしいと言われて始めた、1対1のレッスンだった」と、立ち上げ当時を振り返る。自宅の一室で始めたが、相手も友人ということで無駄話が多く、なかなかレッスンに身が入らなかったそうだ。そこで、友達から「有料でレッスンをしたらどうか」と提案を受けた。友達が知り合いなどに声をかけ、およそ5人でスタートしたのが現在の「ラララ韓国語教室」の前身だ。

そんな筒井さんだが、初めに韓国語を勉強したきっかけは偶然に過ぎなかった。

■留学が転機に

「会社員時代に毎日の仕事にやりがいを見出せず、何かやりがいを感じられることを始めたかった」と、筒井さんは韓国語を学びはじめたきっかけについてこう話す。最初から韓国語をやろうと決めていたわけではなく、中国語も候補に入っていたとのこと。「漢字を使う中国に比べて、韓国語はまるで記号みたいで『学んでみたい』と思った」という。

最初は独学で勉強を始めた。韓国語でアルファベットに当たる「ハングル」は、マルや四画を組み合わせて文字を作る。その1つ1つが発音に対応しており、記号のように見える文字も覚えるのはそれほど難しくはない。筒井さんは「(ハングルは)1カ月くらいで読み書きできるようになった」と話す。

課題は「発音」だった。一人で発音を学ぶには限界があると考え、韓国語教室に通い始める。1年ほど韓国語教室に通い、韓国語を本格的に学びながら徐々に「留学したい」という気持ちが芽生えた。会社を辞め、韓国の成均館大学付属の語学学校に1年間留学する。筒井さんは、「初めての海外生活で苦労もしたが、先生や留学仲間に恵まれ、非常に楽しく有意義な留学生活を過ごすことができた」と当時を振り返る。

この留学の経験が、彼女のその後の人生を大きく変える転機となり、地元での「韓国語教室」の開講に至った。

■初めは手探り

韓国で留学経験があるとはいえ、教えることに関しては素人だった筒井さん。「吉野川市は徳島県でも田舎町。知名度も高くないし、語学教室をするにあたってアドバイスを受けることもできなかったため、全て自分で考え、積み上げなければならなかったのが大変だった」とのこと。教材を自分で作り、なんとかレッスンを繰り返すうちにノウハウを掴み始める。口コミで教室のうわさが広がり、生徒数も徐々に増えた。

5人で始めたクラスは、今や80人ほどにまで増えた。自宅の教室でのマンツーマンとグループレッスンから、教えの場は県内施設での出張レッスンに拡大。さらには月に1度、大阪・鶴橋まで出かけて韓国語を教えるほどの大忙しである。

筒井さんは「苦労はしたが、生徒からは『説明が分かりやすい』『手作りの教材が嬉しい』などのお声をいただいている」と満足そうに話す。

■語学の基本は「懸け橋」

そんな筒井さんは、留学時代に経験した忘れられないエピソードがあるという。ある日、大学で財布を落としてしまい、警備室から「拾ったから取りに来てくれ」と電話が来たので取りに行くと、警備員から「なぜ韓国に来たのか」と尋ねられたのだとか。「最初は日本人だから悪く言われるのかとドキドキしましたが、『一生懸命勉強して、ぜひ日韓の架け橋になってくれ』と励まされた。とても優しい言葉をかけてもらって、大変感動したことが、今でも心に残っている」のだそうだ。

韓国で直に学んだ経験を日本に帰ってからも生かし、多くの人に韓国語を教える筒井さん。今後は「自分の考えを引き継いでくれる韓国語講師を養成して、正しく教える韓国語教室を増やしたい」との夢を持つ。警備員の願いが届いたのかは分からないが、まさに「日韓の架け橋」と言えるだろう。(韓国編集部・清水岳志)


関連国・地域: 韓国
関連業種: マクロ・統計・その他経済

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