マレーシアでネット証券を手掛けるラクテン・トレード(楽天トレード)は21日、開業から1年を迎え、同日時点で口座開設数が1万2,500件に達したと発表した。楽天証券(東京都世田谷区)の楠雄治社長はNNAの単独インタビューに応じ、「40歳未満の若年層がけん引し、想定以上の結果となった」と語った。マレーシアでは身近な商慣行で、現金の受け渡しなしに株式を短期間で売買できる「コントラ取引」を近く導入する計画を明らかにし、成長の起爆剤になるとの見方を示した。
楽天トレードは、楽天証券とマレーシアの大手証券会社クナンガ・インベストメント・バンクが折半出資し、2016年4月に設立。17年5月に営業を開始した。口座開設は毎月1,000件のペースで伸びており、顧客の8割は40歳未満の若い世代が占める。
楠社長は、「(楽天トレードで口座を開設した)顧客の40%は証券取引が初めてで、1件の取引が1万リンギ(約27万9,500円)に満たない少額が主流だ」と話す。楽天トレードは、1万リンギ未満の取引金額に対して、手数料を7リンギと「国内では最安に設定しており、顧客の取り込みを後押ししている」(楠社長)。
また、近く、株式を3日以内で売買する「コントラ取引」を導入する予定で、取引の活発化を見込む。開業当初、向こう3年間で市場シェア30%(取引額ベース)の獲得を目指すとしていた。楠社長は、「コントラが取引額を引き上げるとみて、目標に変更はない」と強調した。
東南アジア市場への展開については、「ネット証券そのものが新しいビジネス形態となるほか、業界最安値となる手数料を武器に進出する余地は十分にある」といい、まずはマレーシアで事業基盤を固める方針だ。
■口座開設、2時間で承認
楽天トレードの新井党(あらい・かおる)社長は、同社のスマートフォン向け専用アプリ「アイ・スピード(iSPEED)」を通じて、口座開設から承認まで2時間で完了し、「利便性の高さが支持されている」と述べた。
証券取引を経験したことがない顧客が全体の4割を占めるため、「セミナーを各地で開き、活用や魅力を伝えていくほか、毎週1回のペースで市場見通しのリポートも発行している」と説明した。
昨年7月には、ポイントプログラム「ラクテン・トレード・リワード・エコシステム(RTE)」を導入。格安航空(LCC)エアアジアやベルジャヤ・グループなどが提供する各種ポイントプログラムと連携し、取引に応じて貯まるポイントを交換利用できるサービスを始めた。
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