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【アジアで会う】清水康子さん UNHCRインド代表 第202回 難民支援の橋渡し役へ(インド)

しみず・やすこ 1960年兵庫県生まれ。関西学院大学を卒業後、 青年海外協力隊としてガーナで2年間過ごした。ハワイ大学で修士を取得し、外務省のジュニア・プロフェッショナル・オフィサー(JPO)派遣制度を通じて国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)に入所。本部のジュネーブのほか、アフリカ各地やアジアで難民支援に当たってきた。2015年からインド事務所の代表を務める。

「問題を持ってくるのも難民、喜びを運んできてくれるのもまた難民」と、日々の難民との関わり語る清水さん。子どもの頃に、ベトナム戦争後に国を逃げ出した難民の姿をテレビで見ていたことを今でも思い出すという。それが、十数年後のUNHCR入所につながった。

海外に興味を持ったきっかけは、大学時代にインドネシア交流セミナーに参加したことだった。しかし、大学卒業後は日本で民間企業や非営利団体(NPO)に勤めた。社会に出て約5年。アジアで働きたいという思いを胸に29歳の時に青年海外協力隊に応募した。アジアを希望したが思いかなわずガーナへ。2年間活動しているうちに、「ボランティアとしてではなく、仕事として出直したい」と考えるようになった。

国際機関で働くため、修士号を取得しにハワイへ向かった。大学では経済学を専攻したが、大学院では社会福祉を学んだ。「移民と難民のストレス調査」を研究テーマに据えた。移民と難民では背景が違う。移民は自らの意志で移住するのに対し、難民は自分の国では人権や生命の安全が守られず、自国を逃げ出さなければならない。そのような背景の違いを持った人たちがハワイでのストレス、そしてその対処法に違いがあるのか、ということを研究した。

卒業と同時にJPO派遣制度でUNHCRに。それからジュネーブ本部、ウガンダやコソボ、アルバニア、アフガニスタンを回り、難民支援の第一線で働いてきた。

ウガンダで2回目の勤務に当たっていた40代当時、空いた時間を使って勉強を再開した。母校である関西学院大学で、総合政策学部の博士課程に籍を置いた。直後にアフガニスタンへ異動になり、研究がなかなか進まない。そうした中、UNHCRと国際協力機構(JICA)の間で職員交換プロジェクトが始まり、JICAに出向する形で日本に戻った。日本滞在中に博士課程の研究を進め、06年に博士号取得。08年には博士論文を本として自費出版した。

■難民と社会をつなぐ存在へ

JICAへの2年の出向を終え、ジュネーブとミャンマー、イエメンを経て、15年にインドへ赴任した。「インドには国内の難民を十分に支援していけるだけの能力がある」と清水さんは説明する。緊急事態時の対応は、他国ではありえないスピード感で支援が集まるのだという。

デリー郊外のロヒンギャ難民の居住地で火事があったとき、インド当局や市民の迅速な行動に感動した。当局はすぐさま代替のテントを設営し、非政府組織(NGO)などからは食料をはじめとするさまざまな支援が集まった。難民たちが失った者を補える以上の支援があった。

一方で、住んでいる所を追い出される難民もいる。けれど、「インドの持つ力を集めて、UNHCRは支援を申し出るNGOや社会団体のネットワークを築き、彼らが難民支援の先頭に立てるように後押しできる存在になっていきたい」と話す。

インドは国連の難民条約にも加盟しておらず、自国の難民規定などもこれからだ。法整備を促すのもUNHCRの役割のひとつ。しかしインドは、チベットやアフガニスタンから多くの難民を古くから受け入れてきた歴史がある。大事なのは条約や定義ではないこともまた事実だ。

難民にも苦楽があり、多様性がある。アフリカ、アフガニスタン、ミャンマー出身者の中には、ボリウッドダンスが上手な難民も多い。「難民というものを映像や文章だけでなく、他のツールを使って表現したい」と話す清水さん。日本の落語やインドの伝統舞踊など、新しい伝達手段を模索中だ。(インド版編集・鶴山えりか)


関連国・地域: インド
関連業種: 社会・事件

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