戦中生まれの伯母がマニラへ遊びに来たときのこと。「歴史的なものが見たい」との要望を受け、世界遺産の教会やスペイン統治時代につくられた要塞へ案内した。
帰り道、港の近くで車を止めた。通り沿いに立つコラソン・アキノの像を見せたかった。第11代大統領のコラソンは、女性の社会進出が盛んなフィリピンの象徴的存在。夫の暗殺後に革命の先導者となり、1986年に女性初の大統領に就任した。政治手腕には批判もあったが、男女平等を国に浸透させた功績は大きい。
年齢が近いだけに、伯母としても感じるものがあるだろう。像の前で彼女の略歴を説明し終えると、伯母がしみじみと一言。「だいぶ修正してるね」。大統領時代のコラソンは、テディベアを思わせるぽっちゃり体形。一方、目の前の像はすらりとした7頭身で、言われてみれば歴史の改変がうかがえる。そうだね伯母さん、女性ならまずそこだ。(成)
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