日本技術の商業化を科学園で、マズワールド

知的所有権の管理やその商業化に向けた事業開発を行う日系のマズワールドは今月、香港政府系ハイテク産業団地の香港科学園(サイエンスパーク)に入居した。同社は日本でダチョウの卵黄を使った抗体技術を商業化した実績を持っており、香港科学園への入居を通じて、海外市場での同技術の商業的展開を見据える。バイオ分野の日系企業が科学園に入居するのは同社が初めてという。

ダチョウの卵黄を活用して抗体を低コストで大量に生産できる技術を開発したのは、京都府立大学の塚本康浩教授。ダチョウは世界で一番大きく古い鳥類で、寿命は約60年だが、病死することがほとんどないという免疫力の強さに着目し、抗体開発に乗り出したという。マズワールドはその技術の国内外での商業化をさらに推し進めるため、2012年に香港で設立された。

マズワールドのマネジングパートナーであるジーン・シゲカワ氏によると、抗体はこれまで、小動物の血液などから抽出して作られ、1グラムの価格は数億円と高額だった。これに対し、塚本教授が開発した技術を用いて、ダチョウの卵1個から生産できる抗体はウサギ800匹から抽出される量に匹敵し、大幅にコストを抑えることができる。

熱や酸性にも強いダチョウ抗体の特性と低コストで、これまでは主に検査キットや研究開発(R&D)用など利用が限られていた抗体の幅広い分野での利用が可能になるという。

マズワールドは、抗体を化粧品に生かすために設立されたジールコスメティックス(大阪市北区)と共同開発を開始し、日本を主要市場として商業化を進めてきた。現在は化粧品のほか、サプリメント、ハウスダスト予防用のスプレー、アンチエイジング商品なども手掛けている。技術の商業化や製造のノウハウといった日本での実績を生かして、海外展開をしていく考えだ。

シゲカワ氏は香港科学園への入居を決めた理由について、「香港科学園を運営・管理する香港科技園公司(ホンコン・サイエンス&テクノロジー・パークス・コーポレーション=HKSTP)のビジネス化への意識が高く、支援が得られるため」と説明。今回の入居に合わせて行われた、塚本教授とジールコスメティックスの前田修社長を招いた香港大学と香港中文大学でのセミナーも、HKSTPが主導してアレンジしたという。

香港がアジアの金融都市として資金面でのパートナーを見つけやすい環境にあることや、巨大な消費市場である中国本土へのアクセスが良いことも追い風となった。シゲカワ氏は「商業化に向けた研究面での提携や、技術力のある企業や機関などの戦略的なパートナー探しを進めたい」と抱負を語った。

海外での商業化事業では、現地の市場に合ったスキンケア商品の新しいブランドの立ち上げのほか、鳥インフルエンザ対策用のマスクや糖尿病患者向けのサプリメントの開発などを検討する。既に企業や大学、政府系研究機関との協議も始まっているという。


関連国・地域: 香港日本
関連業種: 医療・薬品化学・石化

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