非政府組織（ＮＧＯ）の保護責任グローバルセンター（ＧＣＲ２Ｐ）と法律専門家らで組織するグローバル・ジャスティス・センター（ＧＪＣ）は１日、ミャンマーの…

ミャンマー

非政府組織（ＮＧＯ）の保護責任グローバルセンター（ＧＣＲ２Ｐ）と法律専門家らで組織するグローバル・ジャスティス・センター（ＧＪＣ）は１日、ミャンマーの市民社会団体の代表者と行った会議の報告書を発表した。軍事政権が計画する総選挙が暴力を増幅させる恐れがあるとの見方で一致したという。
ＧＣＲ２ＰとＧＪＣは2022年10月27日、ミャンマー危機に対応するための新たな戦略の策定を目的に、同国の市民社会団体の代表者らが参加する非公開の会合を主催した。会合では、◇国軍による総選挙◇インクルーシブ社会の構築◇正義と説明責任◇制裁と武器――について協議。市民社会や国連と加盟国、ミャンマーの民主派による挙国一致政府（ＮＵＧ）に対する提言をまとめた。
ミャンマー国軍が実施を計画している総選挙について、会議の参加者からは、ミャンマー危機の解決につながらず、暴力や残虐行為を増幅させるとの懸念が相次いだ。国軍が実施する選挙が「自由かつ公正」なものになる可能性はなく、軍が国際社会でその正統性を主張するために選挙を利用するとの見方を示した。
市民社会に対しては、ミャンマーで民主主義を維持する重要性を国際社会に向け発信することや、国軍が実施する総選挙の危険性への国民の意識を高めることを提言。国連や加盟国には東南アジア諸国連合（ＡＳＥＡＮ）などと協調した行動をとるよう、ＮＵＧには2008年成立の現行憲法に関する明確な戦略を策定するよう助言した。
インクルーシブ社会の構築については、和平プロセスは男女平等を尊重し、あらゆる少数民族を含まなければ、持続的な解決は不可能であることを参加者の間で確認。市民社会に対し、インクルーシブ社会構築を目指す動きは自国内で発生する必要があると指摘した。国連と加盟国には、ミャンマー国内の地域社会の指導者と直接対話し、国軍に残虐行為の終結と全ての政治犯の釈放を要求することなどを提言した。
正義と説明責任については、国際司法裁判所（ＩＣＪ）での西部ラカイン州のイスラム教徒少数民族ロヒンギャに対する暴力に焦点を当てた審理に言及。ミャンマーで被害を受けている全ての民族が正義を勝ち取る上で重要な前例となり得るという認識を広めることの重要性などを挙げた。
制裁と武器に関しては、市民社会に対してミャンマーでの石油・ガス事業に対する制裁、国軍への航空燃料の供給停止を引き続き国際社会に訴えるよう助言。国連や加盟国には、軍系石油・ガス会社への二国間制裁の実施、国軍への武器供与や航空燃料供給の禁止、国連安全保障理事会によるミャンマーへの武器禁輸に関する決議の採択などを提言した。

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