シリーズ 台湾の日本語世代に聞く
日本による台湾統治時代はいまでは遠い過去になってしまったが、そのころに青少年期を送った台湾人はいまも数多くいる。人生の第4コーナーを回った年齢であっても、いまだ社会の第一線で活躍される方もいる。子供の頃に習得した日本語を片時も忘れない台湾の老世代は、来し方を振り返るなかで、日本の統治時代をどう見ているのだろう。その時代をいかに過ごし、戦後の混乱期をどのように生きてきたのだろう。個人史は各人各様の色合いを持つ物語になろうが、そこには共通項として、台湾を主舞台に日本と中国が複雑に絡み合う、東アジアの近現代史の大きなうねりのようなものがあるにちがいない。日本の敗戦、大陸での国共内戦、台湾への国民党の敗走、228事件、戒厳令、白色テロ、経済復興、民主化――。時代の荒波に翻弄されながらも懸命に生きてきた台湾人の群像を描く。