たとえ血の川が流れようとも2人目は生ませない――。そんな標語が広まった20世紀後半の中国。当時の中国社会は人口増加とそれに伴う食糧危機に神経をとがらせており、多産にはネガティブなイメージがつきまとった。そんな時代を経てきたせいか、中国は中絶に対する抵抗感が比較的薄い国とされてきた。
ただ、世相は目まぐるしく変わるもの。少子化が加速する近年、中国社会は一転して「いかに子どもを増やすか」に関心を寄せ始めた。年間数百万あるいは1,000万件以上とされる中絶にもやや否定的な見解がちらほら。
そんな中、米国最高裁は今月、中絶の権利は憲法上の権利でないと判示。保守的な州では中絶を規制する法律がさっそく有効となり、専門の施設が続々と閉鎖した。2つの大国は、そして世界はいったいどこへ向かうのか。最高裁の前で泣き崩れた女性たちは知る由もない。(陳)
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。