国際通貨基金(IMF)は先ごろ、ミャンマーの経済リスクとして、西部ラカイン州の人権問題や銀行部門の改革の遅れなどを指摘した。ミャンマーの2018年度(18年10月~19年9月)の経済成長率については、昨年12月の発表時に示した前年比6.4%を据え置いた。ミャンマー・タイムズ(電子版)が伝えた。
IMFは、ミャンマーの18年度の経済成長率について、財政支出が膨らむことで17年度(17年4月~18年3月)の6.8%を下回る6.4%になると予測。長期的な見通しは明るいものの、輸出と民間建設事業の減少などを背景に「潜在的な成長率は下回る」と指摘した。会計年度変更に伴う移行期(18年4月~9月)の経済成長率は6.2%だった。
また、ラカイン州のイスラム教徒少数民族ロヒンギャに対する人権問題が長引けば、国際社会からミャンマーへの融資や投資が減少し、経済成長を妨げる恐れがあると指摘。後発国のミャンマーに対して国際社会が設けている一般特恵関税制度(GSP)が停止されるようなことがあれば、輸出の減少は必至。実際に欧州連合(EU)がロヒンギャ問題を理由にGSP停止を検討していることを懸念事項に挙げた。
また、経済改革については銀行部門の改革の遅れをリスクに挙げ、「銀行の資本増強に遅れが出れば金融業界全体に深刻な影響を与える恐れがある」と指摘。各行はコンプライアンス(法令順守)などに関する認識を改善する必要があると強調した。
IMFは中期的にはミャンマー経済が回復するとみており、19年度の経済成長率は6.6%、20年度は6.7%と予測した。
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