【18年の10大ニュース】新政権誕生、財政再建へ大ナタ
2018年5月9日夕から10日未明にかけて、マレーシア国民は興奮冷めやらぬ一夜を過ごした。与党に有利な選挙区割りとみられていた連邦議会下院選挙(総選挙)は投開票日を迎えて、当初は9日午後9時にも大勢が判明する予定だったが、蓋(ふた)を開けてみれば与野党激戦。1957年の独立後、初の政権交代が明らかになったのは翌未明だった。
18年のニュースはこの世紀の番狂わせに尽きる。当時、92歳のマハティール氏が首相として再登板し、就任早々、政権公約(マニフェスト)に掲げていたGST(消費税)の実質撤廃を実行した。一方で、ナジブ前政権の汚職や賄賂など暗部にたまる膿を明るみに出し、国家財政の危機と訴えた。
ただ、巨額の債務を抱える中で税制を移行し、税収は通年で200億リンギ(約5,416億円)減少する見通しだ。来年度に限っては国営石油会社の特別配当で乗り切る考えだが、財政の自律回復と中小企業の体力強化という中期的な展望への障壁も少なくない。次期総選挙までの、早ければ20年には首相禅譲を控え、来年はマハティール首相にとっては政治人生の集大成の一年ともなる。