日中関係改善は評価、ポスト安倍にも注目=現地紙

安倍首相が辞意を表明したニュースは、国営の新華社通信が記者会見開始直後に速報したほか、翌13日の各紙でも大きく取り上げられた。

中国共産党機関紙の人民日報は「日本の首相はどうして突然辞任したのか」という記事を国際面トップで掲載。原因として(1)テロ対策特別措置法について民主党・小沢代表との会談が実現しなかった(2)首相自身の健康問題(3)民意の支持が得られなかった――の3点を指摘した。

後任については、日本メディアの分析を引用しつつ、自民党の麻生幹事長、小泉前首相、額賀財務相、高村防衛相の4人を挙げた。

突然の辞意表明をメーンニュースとして報じる新聞は多く、上海の有力紙・東方早報は一面トップで、記者会見を終えて立ち去る安倍首相の写真を掲載。国際面では5ページにわたって詳報した。国際面では、「転覆」の2文字の見出しをうたい、安倍首相辞意を伝える号外が路上に落ちてくしゃくしゃになっている写真を載せた。

「転覆」記事に続く同紙の国際面は見開きで「安倍の長い1日」と伝えたほか、「結局逃げただけで話にならない」「麻生(幹事長)の出番」との見出しで大きく伝えた。

同紙は中華日本学会の武心波理事の論評も掲載し、今回の辞意表明を「政治の新たな段階に入る」と分析。安倍首相が掲げた「国造り」の挫折により、今後は「超級政治強人(桁外れの強権政治家)」が誕生する可能性に言及し、「今後の日本政治の方向に注目が集まっている」と指摘した。

一方、中国共産主義青年団の機関紙・中国青年報も国際面トップで辞意表明のニュースを報道した。同紙は東京特派員による「安倍辞任の中日関係への影響は限定的」との記事を掲載。安倍首相が就任直後に訪中したことが温家宝首相の訪日につながり、日中関係改善に寄与したと評価した。

また辞任により、対中国外交を悪化させたとされる小泉前首相の路線に回帰する懸念が出ているものの、「民主党の小沢代表が日中友好を支持しているように、“ポスト安倍”も対中外交の安定路線は変わらない」とする日本政府高官のコメントを紹介。日中関係への影響は小さいとした。

英字紙のチャイナデイリーも、涙目で会見する安倍首相の顔を一面に掲載するなど、一般紙以外でも今回の辞意表明を目立つように伝える新聞が多かった。

ただし、辞任の正否についての論評は少なく、後任首相の予想や安倍政権の1年を振り返るものが中心だった。

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