2002年 6月12日(水)

身近なシンガポール法務第37回[社会]


退職金

岡田ビジネスコンサルタンシー

岡田昌光

意外にご存知ない事の一つに、この「退職金」の件があります。

Employment Act(雇用法)第4条には、CPF(Central Provident Fund 中央年金制度)があるので、法的には企業が別途退職金を、例えば定年が来て退職する人に対して、支払う必要はないのです。

もっとも、企業内の就業規則、個人別の雇用契約の中に、退職金規定をもうけてあれば、その規定に従うことになります。

上記第4条を認識せずに、退職金を支払う企業が見受けられます。企業経営責任者の判断で、退職金を支払う事は一向にかまわない事です。日系企業の中には、社内で制度化して、退職金を支払っておられる所もあるようです。

企業に対する忠誠心を高揚させる一つの方法として良いかもしれません。

しかし、かなりコストが必要です。法的に必要の無い退職金をあえて支払うことは、いかがなものかと思います。

このコストを他に利用する方法で、あるいは一層、社員の生産性を向上させる事ができ、結果的には、コストダウンとなり業績向上につながる事も可能だと思います。

第7回“解雇時の注意点”で“Retrenchment”の事にふれました。もちろん、RetrenchementとRetirementとは異なります。が、時々、この二つを混同される方がおられます。

先に述べました雇用法は、月額1,600Sドル以下の被雇用者を対象としている法律です。かかる雇用法に基づく被雇用者を“雇用法適用被雇用者”と呼び、それ以外の被雇用者を“雇用法非適用被雇用者”と呼び、区別します。

雇用法は、最低労働基準を雇用者が守るよう規定したものです。

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