2004年11月24日
日本の管理方法を持ち込めるか
赴任して間もないのですが、今の状況を打破したいと思っています。果たして、日本の管理方法を持ち込めるのでしょうか?
日本的管理を持ち込んでほしいと願っているのは、マレーシア政府の高官ではないでしょうか。知識は本で学ぶことができても、実践は本で学ぶことは難しいものです。
私がポーランドにTQC(Total Quality Control)の講演に行ったときに、現地に通訳の方から聞いた話ですが、当時のワレサ大統領が日本大使に向かって「ポーランドを日本の植民地にして下さい」と言ったそうです。このような事を通訳して良いのか躊躇(ちゅうちょ)していると、大統領から通訳しろというサインが送られてきたため、日本大使に伝えたそうです。これを文字通り受け取る人はいないでしょうが、日本企業に進出してもらい、高い品質管理で知られた日本的な管理方法をポーランドに導入してほしいという大統領の悲願であったようです。
日本の管理方法の導入は全く問題ないと思っています。一時代前は、「現地化」(内容は現地人化)という言葉がもてはやされ、現地に迎合する傾向が見られましたが、最近は企業の原点といえる、利益を出す事に集中しており、このような言葉はあまり聞かれなくなってきました。
ローカル・スタッフの中には「ここはマレーシアだから、マレーシア流にしなければいけない」という人もいますが、マレーシア流に行っていたら日系企業は成り立って行かないでしょう。
日本の管理方法は原則として受け入れられるものだと思います。しかし、やり方の工夫や時間的なものは考慮する必要があります。
私がコンサルテーションを行っていて感じるのは、日本のような基礎が出来ていないということです。日本では、文化の厚みといったものがあり、製造業をとってみても、われわれの先輩方は、欧米の書籍を翻訳して日本語で読めるようにしてくれたり、難しい内容を噛み砕いて説明をしてくれたり、最近は漫画で説明をしてくれたりしています。しかし、このようなかゆい所に手が届くような環境は海外にはありません。管理・監督者が実力もないのに威張っているというのが実情でしょう。
従って、まずは管理・監督者の教育から始めなければならないわけですが、指導をするにも教材がありません。私どものコンサルテーションでも、教材を作成しながらコンサルテーションを行っているのが実態です。これが、苦労をする点です。
(1)現在の従業員の日本研修(本社に送り込み、現場で仕事をさせる)
(2)会社の方針、目標をはっきりさせる
(3)会社の方針に基づく実行計画を作成させる
(4)実行計画を実施させる。不良品の発生の要因を広く検討し、工程を絞り込む