2004年7月21日

第8回増値税還付の計算問題~年明け混乱は必至?!~


還付はいいが、計算根拠がわからない。日本の年金問題も然り、制度があってもシステムは大丈夫か、華南だけの問題なのか、他社はどうなのか……

製造業の進料加工輸出の不還付額は「(輸出FOB金額-免税輸入原材料額)×不還付率(例えば4%)」と計算されることは知られていますが、今回は輸出額、輸入額にまつわる実務問答三題をご紹介します。

免税輸入原材料がゼロ!年初の免除・控除・還付計算の混乱

税務局の説明は、還付率の変更に納税・還付システムの対応がおいつかず、暫定的に免税輸入原材料の控除を認めない、つまり還付申告に際して一律に証憑不完全とみなしてゼロ査定するというもの。これは第1四半期だけの臨時措置で、第2四半期にあるべき納税・還付計算をして調整するという話だが、納税・還付額を正しく記録できているのか、税務局や税関のシステムに一抹の不安を覚えてしまう。

同様の対応を迫られた地域は江蘇省など他にも見られます。免税輸入原材料額が少なければ不還付額が多く計算され、会社にとって不利となります。積極的な対応ではないものの本来あるべき納税・還付額と実際の納税・還付額の照合記録は残しておきましょう。

税務局と会社とのデータ不一致

会計担当が言うには、会社が計上している輸出FOB金額と税務局のデータ上の金額に差異があるらしい。税関→国家税務総局(中央)→省国家税務局→所轄国家税務局、と内容確認、データ転送に時間がかかるのが原因のようだ。所轄の税関と税務局同士で直接データ交換してくれればいいのに……

このタイムラグを原因とするデータの不一致は、不還付額計算に当面直接的な影響を与えないものの、最終的には一致すべきものであり、税務局任せにせず、どのインボイスから差が生じたのか、できれば毎月照合作業を行いましょう。タイムラグを原因とする不一致の対応策は、一般的に可能な限りこまめに消し込み照合をすることです。年度通算で両者の金額が一致すれば問題ないのですが、増値税システムの現状を見ていると差異発生は必定でしょう。

免税輸入原材料の計算

免税輸入原材料は、その月に保税輸入した金額で計算されると思っていたのだが、当地では輸出製品に使った輸入原料を指すようだ。どうやって計算しているのだろう。

実際の製品ごとにどれだけ輸入原材料が使われたかを積み上げ計算するというよりは、毎月の申告上、加工手帳に登録された予定使用率を用いて、製品輸出価格から概算する方法が多く取られます。進料加工契約が完了し、消し込みが終わった段階で、輸出に使われた輸入原材料の実額と予定使用率を用いて計算、控除した金額とを比較して還付額を精算します。結果的に免税輸入原材料が実額で控除されたかどうかを、精算の際に確認しましょう。これは増値税還付の関連規定でいうところの、「実際損耗法」と呼ばれるもので、ほかに「購入法」と呼ばれる、実際に当期輸入した免税原材料額そのものを用いる方法がありますが、ざっと見たところ前者を採用している地域が多いようです。

増値税還付は実務レベルではシステムの問題であり、対策としてはこまめに消し込みをし、照合記録を取っておくしかなく、年明けの混乱を見越して旧正月の予定は空けておいたほうがよさそうですね。

※本文は著者個人の意見であり、所属する法人とは関係ありません


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