2002年12月25日(水)

身近なシンガポール法務第65回[社会]


会社法の改正(6)

岡田ビジネスコンサルタンシー

岡田昌光

前回に続き、会社関連法の法案作成および監査委員会(CLRFC)の提案内容を説明します。

3)Corporate Governance (企業統治)

委員会は、英国で実施しようとしている役員義務の法制化をそのまま取り入れようとしています。私企業における株主の決議方法を簡素化し、電子手段による企業内の意思疎通を効率化することを提案しています。

4)Corporate Insolvency (企業の債務超過)

シンガポール政府にとって今が、企業、個人ともに債務超過の分野における対応を簡素化するよい時期とみています。アジアにおける経済サイクルを見ていますと、債務超過に対する経験を積んだ専門家が必要です。

さらに債務超過研究所を設立し、そこで債務超過に適切に対応できる専門家を養成するのです。この専門家達は、すでに会計士、財務コンサルタント、弁護士、そしてカンパニー・セクレタリー(日本の司法書士に近い専門家)の資格のある人達も対象となります。

5)Boundaries and Concluding Recommendations(総括)

委員会は、不法行為を罰する十分な法的規定を設けることで、企業の悪質な不正行為を適切に矯正していくことができると具申しています。しかし一方で、適正な公的取り締まりによる罰則で、不正度の低い行為を矯正することも提案しています。

この硬軟のバランスをとる事が、国際または地域内競争が一段と厳しくなる環境の中で、あえてリスクを取りながらも新事業に挑戦しようとするベンチャー精神を盛り立てていくのに役立つとも、委員会は提言しています。

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