2002年12月 4日(水)

身近なシンガポール法務第62回[社会]


会社法の改正(3)

岡田ビジネスコンサルタンシー

岡田昌光

前回述べました「会社関連法の法案作成および監督委員会(CLRFC)」の意見を政府は受け入れました。つまり、500万Sドル以下の年商の免除非公開会社(EPC)および休眠会社に対しては外部監査を免除しようという事です。

この法が実現しますと、小企業のEPC、特に個人経営企業にとっては経営コスト削減につながります。また、ベンチャー企業立ち上げの時の法令順守にかかる費用を低く抑えることにも役立つと考えられております。

同時に、小企業に対して、外部監査を法的に求めないことで、シンガポールが世界でも司法の確立した先進国としての位置付けを確固たるものにすることができるのです。

もっとも企業秘書(Company Secretary)であるとか公認会計士は、CLRFCの提案通りに法文化されると、自らの仕事を失うことにつながる事を心配しています。

この点については、中小企業団体がとったアンケートが参考になるでしょう。アンケート調査によりますと、仮に法律で、企業秘書であるとか、公認会計士であるとか、外部専門家に依頼しなくてもよいとされても、アンケートに回答したうち、50%が引続き外部専門家に依頼する考えであると答えています。また法令で、全ての企業は適正な会計処理を義務付けられるのであろうから、外部の経理帳簿づけ(Book-keeper)を会計士事務所に依頼すると75%の企業が答えているのです。そして78%の企業は、引き続き外部監査をしてもらう意向を示しています。

その理由として適正な監査済み会計報告書を作成することにより、株主、取引先、金融機関等に対応したいとしております。

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