2002年11月27日(水)
身近なシンガポール法務第61回[社会]
会社法の改正(2)
岡田ビジネスコンサルタンシー
岡田昌光
(「雇用」をひとまず延期し、前回から会社法の改正を掲載しています)
本稿で申し上げる“改正”は、いまだ法文化されたものではありません。あくまで政府が「会社関連法の法案作成および監督委員会(CLRFC)」の提案を受け入れたということです。この提案が法文化して初めて、法律的に有効となります。
CLRFCは、シンガポールのすべての株式会社が現在、法的に外部監査を受ける事を義務付けられている点を検討しました。今年5月、まず“休眠会社”および“exempt private company”〈免除非公開会社〉――“EPC”と略します――に対しては、外部監査を法的に受けなくてもよいという提案をしました。
“EPC”の80%超の企業が個人経営形態であることを考慮しての提案です。そして株主は会社役員でもあり、したがって、株主利益保護を目的とした外部監査の意義が薄れるのです。
外部監査は、私的業態には必要ない事であり、“休眠会社”に不必要な費用をかけることはないだろうというのが多数意見です。英国、香港では、休眠会社は監査を受ける必要がないのです。
以上の理由から、CLRFCは休眠会社の外部監査は免除してもよいと提案したのです。
ところが、会計士協会ですとか、企業団体からは、異議が出ております。その主要な点は、“EPC”の実態は、大型企業も中にはあり、もし“EPC”が外部監査免除になれば、大企業にまで外部監査免除が拡大していく心配が出てくるということです。
そこでCLRFCは、第1段階として年商500万Sドル以下の企業を対象に外部監査を免除してはどうかとの意見を出しています。