2002年10月23日(水)

身近なシンガポール法務第56回[社会]


雇用(7)

岡田ビジネスコンサルタンシー

岡田昌光

“雇用(5)”で申しましたように、雇用契約書に法的もしくは慣習的に記載する事項として、被雇用者には以下の義務があります。

◎雇用者に労務を提供する義務

◎雇用者の命令に従う義務

◎自らの能力を充分発揮し、与えられた職務を果たす義務

◎誠意をもって組織の中での機能を果たす義務

◎雇用者に対して忠誠をちかい、秘密保持を厳守する義務

一方、雇用者は、被雇用者に対して、安全な勤務環境を整える義務があります。

工業化が進み、技術革新がますます高度化し、複雑化するに伴い、雇用契約書の重要性は一層高まってきました。以下に述べます事項は、雇用者にとっても、被雇用者にとっても重要な事項であり、これらの事項が不正確ですと、両者間での争いのもとにもなります。

(a)知的所有権の保護

技術革新時代にあっては、知的資産が最重要事項となっています。知的所有権は企業の無形資産を形成しています。そして、この無形資産を企業として何としてでも保護しなければならないという認識を有しております。

企業は、かかる知的資産は、もとは社員の発明であり開発したものであるが、その所有権は企業に存するものである事を明確に雇用契約書に記載していなければなりません。

(b)秘密保持

被雇用者は、企業秘密を開示しない義務があります。被雇用者は雇用期間中、従事している業務を通じて学び得た業務上の機密情報を使用したり、開示したり、また公開することはできないのです。そしてこの事を雇用契約書に記載するのです。

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