2002年10月16日(水)

身近なシンガポール法務第55回[社会]


雇用(6)

岡田ビジネスコンサルタンシー

岡田昌光

“雇用(5)“で申しましたように、Employment Act(雇用法)に そぐわない letter of Appointment(雇用契約書)であったり、Employment Handbook(就業規則)であったりしますと、法的に無効となります。信頼のおける弁護士に見てもらうことが重要です。また、1年に一回はお手元にある雇用契約書であるとか、就業規則を弁護士にチェックしてもらうことをお勧めします。「ころばぬ先の杖」です。

Employment Act のすべての条項が、この法律で定義してある“employee(被雇用者)”には当てはまりません。

雇用法は、合計16の部門から成り立っています。ある部門は、特定の被雇用者集団しか当てはまりません。例えば、休暇、就業時間、残業時間、祝祭日、年休、病気休暇等の条項は所得レベルに関係なく当てはまります。

この雇用法の範囲から外れる被雇用者(月収1,600Sドルを超える被雇用者)に対して、企業は雇用法の条項に束縛されることなく、雇用契約を結ぶことができるのです。しかし、雇用法は、かかる被雇用者に対しても、基本では適用するのです。

雇用する時に、必ず被雇用者と雇用者との間で取り交わすのが“雇用契約書”です。この契約書に少なくとも規定していなければならない条項は、

(1)職務

(2)給与

(3)雇用期間

(4)就業時間

(5)解雇通知時期

(6)仮雇用期間

(7)給与査定方法

(8)ボーナス――等です。

次回は、雇用者、被雇用者の法的、もしくは慣習的義務事項について述べます。

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