2002年 9月18日(水)
身近なシンガポール法務第51回[社会]
雇用(2)
岡田ビジネスコンサルタンシー
岡田昌光
“Employment Act”(雇用法)は、雇用に関する根幹を成すものです。シンガポールでの雇用の諸条件を律するものです。しかし、この雇用法は、すべての被雇用者に適用されません。
雇用法には、“雇用法に適用する人”は、被雇用者(女性も含む)であり、雇用者と契約を結び、就労する人である。ただし“船乗り、メイド、また、経営者側の業務につく人、もしくは企業秘密にかかわる人は、適用されない”と定められています。
そこで、経営者側の業務に携わる人(a Managerial Executive or Confidential Position)の基準をどこに置くかと申しますと、
a)他の被雇用者を管理監督する立場にあり、また、他の被雇用者より経験のある人
b)雇用者の業務の責任をもたされ、支店、部門、もしくは、事業部の管理をまかされている人
――ということになります。
The Industrial Relations Act(産業関係法)とは、経営者側と産業組合との産業関係を、秩序よく維持しようとする法律です。
この法律はまた、団体交渉、調停、仲裁を通して、労働組合紛争を予防し、かつ、解決するためのものです。
この法律は、2002年7月23日、ある程度の“executive employees”(管理職被雇用者)でも、組合の力を借りることができるように改正されました。
組合の力を借りることのできる範囲は、
1) 不当解雇
2) 解雇手当にかかわる紛争
3) 雇用契約違反
ただし、この法律でも、すべての管理職に属する人が組合の力を借りることができるとはなっていません。
企業運営に深く携わっている管理職であり、企業の意思決定に関与している人は、企業の利害関係の衝突を避けるため、組合の力に頼る事は禁じられています。