2002年 9月11日(水)
身近なシンガポール法務第50回[社会]
雇用(1)
岡田ビジネスコンサルタンシー
岡田昌光
シンガポールでの雇用は、基本的に日本での雇用と異なっていることを理解することです。シンガポールでの雇用は、雇用者と被雇用者とが“一対一”の雇用契約が基本です。従って、この雇用契約書――“Letter of Appointment”――が法に則り、業種(例:8時間勤務なのか、24時間勤務なのか等)によって、契約書の内容が異なります。
契約書の“サンプルを欲しい”とのご依頼を受けることがありますが、いわゆる雇用契約書の“サンプル”はありません。すべて“テイラー・メイド”になります。簡単な雇用契約書で済ませている企業もございますが、雇用問題が生じた時、最も困難な対応に迫られます。弁護士費用も“余分”にかかってくる結果になります。
雇用契約書を企業内で作成する事は結構ですが、必ず弁護士に精査してもらうことが肝要です。初めから、弁護士に契約書作成の依頼をする時は、“就業規則”“労働契約書(Collective Agreement)”が別途作成してあるのかないのか、あれば、その写しを弁護士に提供してください。また、契約書内容に記載したい事項を箇条書きで渡しておく事です。
シンガポールに於ける雇用関連法規は、以下の8つです。
1)The Common Law(英国での判例法)
2)Employment Act (雇用法)
3)Industrial Relations Act(産業関係法)
4)Trade Unions Act(産業労働組合法)
5)Trade Disputes Act(労働組合争議法)
6)Workmen’s Compensation Act (労働者補償法)
7)Factories Act (工場法)
8)Employment (Part - Time Employees) Regulations
(雇用[パート・タイム]労働者規制法)